「絵馬」といえば神社にとっては馴染みのものです。幅が1メートルを超えるような「大絵馬」から手のひら位の大きさの「小絵馬」まで大きさは様々で、祈願や感謝の意をこめて、板に馬の絵を描いて神様にお供えするもののことを言います。屋根がついた五角形の形なのは馬の小屋を表しているそうです。今は馬以外にも色々な絵柄を用いますが、もともとは生きた馬を神前にお供えしたのがはじまりと言われています。
馬をお供えする、というのは現代の私たちには少し分りにくい考えではあります。
天武天皇の時代に「犬・馬・牛・鶏を食べる事を禁ずる」という詔が出されており、古くから馬は身近なもの・大切なものとされていました。農耕を行ってきた日本人にとって馬が大きな財産であったことは想像に難くありませんが、立派な馬は同時に神様の乗り物としてもみられていたようです。
直接馬が登場する神事といえば「流鏑馬(やぶさめ)」が代表的なものですが、これははじめ武士の戦勝祈願の意味で神社に奉納されたものでした。しかし神事としての流鏑馬が広まると、やがて武士の手を離れて純粋な奉納として行われるようになりました。今でも恒例の行事として流鏑馬神事を行っている神社がありますが、実際に馬を飼うところもあり、そういったところでは馬を「神馬(しんめ)」と呼び育てています。
名前を調べると意外な由来、歴史が見えてくることもあります。いつもと違う角度から神社をみてみると面白い発見があるかもしれませんよ。
【記載:権禰宜A】