本日は大安吉日となり、地鎮祭のお約束が幾つかございました。
さて、地鎮祭に用いる特徴的なものとして『鎮物(しずめもの)』というものがあります。いわば埋めて奉納する形をとるお供え物の事で、神社により形式は様々ですが、大体片手に収まる位の箱状のものが多いようです。
当神社では写真にありますように陶製の辛櫃型の鎮物を使用しています。他には桐箱型、紙包型、或いは二枚の皿を貝のように合わせて中にお供え物を入れるという形もあります。
中身は金物の人形・鏡・小刀子などの他に、当神社では稲穂や五色の切麻等を入れてあります。祭壇には野菜や果物といった食物をお供えしているのに比べ、鎮物は呪術的な色合いを感じさせます。
地鎮祭中の「鎮物埋納の儀」の様子
『埋める』という行為にはそれ自体に神秘的な意味があるようです。
例えば植物の種子は埋めることで命を得たかのように芽を出し成長を始めます。逆に人が亡くなった時などは埋めることでお別れをしやがて身体は土に還ります。
その他にも昔、講組織などで人から集めたお金を土に埋めて保管する事もあり、これは埋めることで“誰かの所有物であるという事を消す”意味で行われたと言われています。
土の中は目に見えないながら人知の及ばぬ力の働く別世界であり、特別視されていました。今に伝わる風習や伝統の中に、そうした昔からの感覚はまだ残っているようです。