当神社では『荒神様』と呼ばれる台所の火の神様の御札を二種類頒布しています。
一つは御神名の記されたよく見る形の御札、もう一つは竹を芯にした幣串が三本付いている“三本御幣付荒神大麻”と呼ばれる御札です。
乾燥した冬は問題ないのですが、ずっと竹と紙とを一緒にしていると色が移ってしまうとの事で、今日は荒神様の幣串を外し手入れをしました。
荒神様は色々と特別な作法の伝わる神様でもあります。
まずは台所に専用の“荒神棚”を設ける事..。 これは危険な火を扱う場所ですから、見守っていただけるようにという意味で不思議ではありません。
他に“五色の特殊な切り方をした御幣をお供えする”、“色彩を施した一本立ての松の枝をお供えする”、“あえて土団子など粗末なものをお供えする”...などがありますが、これはどうやら陰陽道など別の習俗が混ざったためであるそうです。 現在は荒神棚も家の神棚と同じようにお参りし、お供え物をするべきとされています。
元々荒神様というのは仏教において“仏・法・僧”の“三宝”を守護し、信者を守り悪人を罰するという『三宝荒神』の呼び名です。
三面六臂(顔が三つで腕が六つ)の忿怒の形相で表され、特に不浄を嫌い火を以て浄化するという性質から、古くからある家の火の神と習合して祀られるようになったと言われています。
複雑な性格を持つ神様ではありますが、これも長い間信仰を集めてきた故とも言えますね。