今日は神主がご祈祷・お祭りに奉仕する際に着装している装束についてお話いたします。
ご祈祷中の神主の格好
このように狩衣というものを着装して普段ご祈祷をしております。
この狩衣は平安時代以降に着られていた公家の普段着であり、元々は狩りをするさいに着用していたことから、この名前がつきました。
昨年12月の年越大祓の一場面
また、神主がよく用いる装束にもう一種類、『浄衣』というものがあります。上の写真、大祓の際に神主が着装している白い装束が浄衣です。
この浄衣は潔斎の服として神事に用いられております。形は狩衣と同じものですが、色は染めをしない白になります。江戸時代までは、この白い浄衣が純粋、素朴ということで神主は皆この浄衣を着けていたそうです。
ほかにも『衣冠』『斎服』といった装束を用いることもありますが、神社のお祭りではほとんど上の2種を用いています。
この3月は特に、地鎮祭などでお伺いしたご家庭で、小さいお子様に“お内裏様がいる”などといった声があがります。一見似たような格好をしているのですが実は、違います。
お内裏様が着ているこの服は、束帯といって我々神主も着ることのないものになります。この束帯は、平安時代以降天皇以下の公家の正装として着装されています。
お人形のため、あまり実感がわかないと思いますが、この束帯は何枚もの着物を重ねて着るものなので、一人では着ることができません。そのくらい、この束帯は格式がある装束なのです。