FREAKY 13 DEAKY

酔いどれの誇りと踊る熊へ

イーストウッド監督「恐怖のメロディ」

2012-05-09 13:37:27 | 日記
また夜中に面白いのがWOWOWでやってました。


PLAY MISTY FOR ME

このエロール・ガーナーの曲名を題名にしている。

たしか監督第一作目だったと思います。

クリント・イーストウッドの監督の中でもすこぶる面白いのだ。

自分ベスト映画史でもベストテン内には絶対にエントリーだ。

1971年の作品。

処女作品にはその作家の全てが出る、という鉄則によれば

間違いなく映画監督としての

才能が備わっていて、何よりもヘンな男だ。

自分の内面に持っている、嗜好性が生々しく出ている。

イーストウッドはインテリだし読書家だ。

しかもかなり変なものが好きらしい。こういうところも共感が持てる。

ジャズマニアも共感が持てる。

モントレージャズフェスをほとんどドキュメンタリーとして撮っているし、

完全に自分の好きなもの全開で映画に盛り込んでいる。

映画自体の内容は・・・・

地元ラジオの人気DJが遊びで一夜を共にした女にストーカーされるという話。

サスペンス映画の体裁をとりながら、イーストウッドのマゾ性全開になっている。

マゾ性が・・・・

とにかくいい場面が展開されるので観てもらえれば良いんですが・・・

とにかく言いたいのは、主人公がカッコ悪い。

イーストウッドなのに共感持てない。

なぜだ?どーして?

白ブリーフパンツ一丁でオタオタうろたえる姿。

長すぎてむさ苦しい決まってない髪形。

夜中の放送を、俺ってイケてるDJだろ?をムンムン醸し出しているニヤけた表情。

いい車に乗って、独身貴族満喫してるわりにはどこか間抜けだし。

そんなに自分を下げて・・・・・・いったいどうしたっていうんだいキャラハン刑事!

こんな俺を見てくれよ!女ったらしでだらしなくて弱い男の姿も

俺の一部なんだよ!どうだキャーキャー騒いでいる女ども!

極めつけが良く描けている自分の肖像画をあんなにまでしちゃうとは・・・

ガチですよ。間違いない。

そうなのだ。俺には聞こえるよイーストウッドの兄貴っ!あんたの声なき声が。

前作のドン・シーゲル監督「白い肌の異常な夜」出演でで完全に創作意欲・表現欲に

火が付いたのだろう。

さすがはイーストウッドの師匠ドン先生、完全にツボを押さえていたのだ。

今考えたら、あのラストシーンだってイーストウッドの本当のやりたいのとは

違うかもしれない・・・・

きっと、ハリウッド方式でまとめ上げているはずだから

カタルシスはあるんだが。

自分の考えていたラストは、あんなんじゃなくてああなるだろうな・・・・・

傑作です。





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