タトゥーなんてちっともカッコイイとは思わなかったのに。
綺麗な左腕に浮き上がっていた龍の入れ墨をした女がいた。
入れ墨をすると長生きできない。
体内に浸透した「墨」が内臓を痛めるからだ。
愚かな美的感覚で自分の寿命を縮めるその娘は儚げとは真反対の存在。
でもその女の一瞬の開き直りが素敵だった。
なにか?
凍りつくようなその瞳で雑魚を寄せつけない。
半世紀生きたオジサン飲みかけのハイボールをそのままにおあいそして退散だ。
あれは龍なのかドラゴンなのか今は思い出せない。
台風の前ぶれの余興なのか。
書を捨てて街へ繰り出して良かったよ。