この1週間の間にいろいろなことがありました。コロナが変異株の流行で新たな段階に入ったこと。ゴルフでは松山選手がオーガスタで優勝したこと。桜花賞では白毛のソダシが優勝したことなどです。そんななかテレビを観ていてブログに書きたいと思った話題が3つありました。
一つ目はNHKのEテレの鳥獣戯画展の特集でまたまた明恵上人坐像の話です。今回は坐像の右耳が欠けているという話。これは『明恵上人伝記』なか建久四年癸丑・・・から始まる文章にその訳が出てきます。その個所を原文で紹介します。
(前略)志を堅くして如来の跡を踏まん事を思ふ。然るに眼をくじらば、聖教を見ざる歎あり、鼻を切らば、則ちススリ洟垂りて聖教を汚さん、手を切らば印を結ばんに煩あらん、耳を切ると云へども聞こえざるべきにあらず。(以下略)
ということで明恵上人は耳を切ったということです。その傷が明恵上人坐像に残っているとは・・・。
二つめはNHKニュースのノーベル賞作家カズオ・イシグロのインタビューの話。これは東洋経済オンラインにも出ていました。タイトルは”カズオ・イシグロ語る「感情優先社会」の危うさ”です。最近のアメリカ大統領選挙後の連邦議会への乱入事件に大きく危惧したことから始まります。乱入した人々は事実や真実より「トランプが勝ち、勝利したはずだ」という感情のみで行動しました。周りや他の人たちのことを考慮せず、感情のみで行動する人たちがこれからの世界を危うくすると作者は考えているようです。それでふと思い出しました。『華厳経』のなかで善財童子が菩薩になる修業のために五十五所、五十三人の善知識を訪ね学ぶという話です。多様な意見を尊重する大切さを教えています。やはり今、仏の教えに学ぶ必要があるようです。
最後はマスターズでの松山選手のキャディーの話。優勝した後にこれまで回ってきたコースに一礼したニュースが世界中を駆け巡りました。いろいろなコメントのなかで気になったことは「コースに神がいてそれに礼をした」というものです。たぶんこのキャディーはそんな大そうなことは考えておらず、ただ感謝の気持ちを表わしただけでしょう。アマチュアのスポーツ選手なら誰でもすることです。この人間だけでなくモノまでに「ありがとう」と感謝すること。これが日本人が大切にしてきた心かもしれません。