毎月28日はお不動様の縁日。それで小田原市鴨宮にある満福寺の火伏まつりに出かけました。正式には延寿山成就院満福寺と号します。お寺の由緒書きによりますと、建長六年(1254)箱根金剛王院(現箱根神社)から下向した僧により創建されました。古義真言宗の古刹であり、宗派は東寺真言宗に属し、総本山は京都東寺。ご存じ東寺は、空海が弘仁十四年(823)に嵯峨天皇より賜ったお寺。私も近くに勤務先があったことから、何回も参拝した懐かしいお寺です。また今年は真言宗開宗1200年を迎える年であり、10月に真言宗立教開宗1200年慶讃大法会が東寺で行われます。この記念すべき年初に東寺ゆかりの満福寺火伏まつりに参拝できたことは何か縁を感じます。
さて当日正午から行われる火伏まつりはどんなお祭りか?ちょっと解説してみます。正午になりますと、十数名の修験者がほら貝を吹きながら本堂に参集します。本堂の護摩壇の周りに着座した修験者はまず、『法華経』の観世音菩薩普門品第二十五(観音経)の頌を読誦します。あの「念彼観音力」の頌ですね。次は『般若心経』を4回繰り返しますが、太鼓と錫杖の響きに合わせての読経の声が全身に浸みわたっていくようで迫力があります。その後に護摩供養になりますが、願意は「天下泰平報国成就」「家内安全息災延命」「七難即滅七福即生」「身体健全一心祈願」「交通安全一心祈願」「厄難清浄一心祈願」「商売繁盛一心祈願」「心願成就一心祈願」「法力成就一心祈願」などで各20回繰り返し読み上げられますが、修験者の合唱となりますので、ありがたさは倍増、その場にいることの幸福感を味わうことができます。
本堂の供養が12時半頃に終わりますと、いよいよ境内での火伏まつりになります。境内には四角の結界の縄が張られ、中央にスギの枝、お札が高々と積み上げられています。2か所に火付けのかがり火が炊かれ、修験者が到着するのを待ちます。13時近くになりますと、また修験者の列が西の結界の外に参集し、山伏問答がなされます。本日は丹沢山の山伏が火渡り修業に来たと聞えました。結界が解かれ、修験者が中に入りますと、まず東南の角に置かれた神木登り、宝斧、宝剣、宝弓(角4か所に弓が射られます)、宝槍などを使った修験道1000年の秘法が披露され、いよいよ松明の火で中央のスギの枝の山に火がつけられます。
「火渡り」とは修験道に伝わる儀式で、高く積んだ護摩を焚き、その上を素足で渡る修業です。不動明王と同じ姿になりその境地を体現するための修業です。また火には焼くという働きがあり、そのため、護摩の火で煩悩や身に降りかかる諸々の災いや嫌なことを焼き尽くすということのようです。満福寺の火伏まつりは、火を制するという意味もあり、火災よけの願いも込められています。
写真はご住職の火渡りの瞬間。渡る前に煮えたぎる湯を全身にかぶっていました。私も裸足で火渡り儀式に参加しました。熱いかと思った地面はそうでもなく、安全に渡ることができました。
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