昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代考証を担当した坂井孝一先生が書いた『物語の舞台を歩く 曽我物語』(山川出版社)のなかに箱根越えに湯坂路が紹介されています。弟の曽我五郎時致は箱根権現に預けられますが、その曽我兄弟が選んだ箱根越えの道です。以前から一度は歩きたいと思っていましたが、ようやく歩くことができました。
コースは箱根湯本駅から出発し、湯坂路ハイキングコース(旧鎌倉古道)を歩き、芦の湯温泉の近くにある曽我兄弟の墓をお参りし、お玉ヶ池から元箱根を経由して箱根神社まで行く道です。途中通過する山は、湯坂山(546.8m)、浅間山(801.5m)、鷹巣山(834m)など。鎌倉時代に利用されたにしては結構ハードなコースでした。登り口の和泉ホテル脇から湯坂城跡までの30分位が石畳もある険しい山道ですが、あとは長いなだらかな尾根道が浅間山まで続いています。浅間山から鷹巣山までは急な登り。この辺り鷹巣城があったと言われていますが、場所は特定できていないようです。鷹巣山からは、北に明神ヶ岳、遠く北東に大山が望め、山頂に大日如来と書かれて石塔が立っていました。鷹巣山からの下りは広く明るい登山道で、眼前には駒ケ岳の山容が眺められます。芦の湯までは国道1号線の歩道を歩き、石仏・石塔群のある精進池まで行きます。このハイキングコースは歩道のない国道など一般道を歩くことはなく、歩道が途切れたら、登山道の入口をよく探してください。朝8時20分頃に箱根湯本の湯坂路入口を出発し、曽我兄弟の墓に着いたのが12時15分。ほぼ4時間かかりました。風が強く寒いのにはまいりましたが、暑い季節よりまだ耐えられると思います。
本日の目的の一つである石仏・石塔群は見ごたえがあります。写真や人づての話ではなく、ぜひ一度ご自身の眼で見ていただくことをお薦めします。歩いてきた方が苦労した分、一層感激しますが、国道1号線沿いに駐車場もありますので、バスや自家用車で訪ねてみてください。精進池と眼前に駒ケ岳を望み、鎌倉時代から地獄をイメージした場所です。今のように国道沿いでは興ざめでしょうが、元箱根から山道を1時間以上かけ登ってきた先に、精進池と噴煙が上がっていたかもしれない駒ケ岳をみれば、地獄と思ったに相違ありません。それ以上に鎌倉時代にどうやって巨石を運び、数基の五輪塔や宝篋印塔を作ったか?興味は尽きることがありませんでした。
この石仏・石塔群からお玉が池までは歩いて30分位ですが、結構な山道です。さらに箱根神社までは30分位かかり、箱根神社に着いたのは14時を過ぎていました。お玉が池は二子山を背景にして静かで美しい所。箱根神社もはじめて。何度もきている箱根路でしたが、芦ノ湖だけが箱根じゃないと再認識した一日でした。
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