レース おっさん

テルテルの会社からハガキが届いた。

来年のカレンダーができたので、「欲しい人は会社へ」と云うことだ。

いつもは配布してくれるのに、今回は経営者が変わったからか「店へいらっしゃい」と云う営業戦略なのかも知れない。

ついでに展示車を見せて購買意欲を高めようと云う算段なのだろうが、懐が寂しいので新車は無縁。

それにテレビでは、65歳以上の高齢ドライバーの危険性が特集されていて改めて自分が高齢ドライバーなのを認識したばかりだからだ。

テレビで「65歳以上の高齢ドライバー」と云う言葉が繰り返される度に気が滅入ってしまった。

70歳になったら、他人は同乗させないと決めている。
75歳で運転卒業かなぁ・・・・・
そうなると、この街から飛ばし屋が一人減ることになる。


車会社のカレンダーは写真が素晴らしいと云う思い込みがある。

ピカピカの新車の横で脚の長いボンキュッボンのレースクイーンが微笑む姿は高齢ドライバーでも 久しぶりに目を見開く程の芸術品だ。
コーナーを限界まで倒して すり抜けるバイクの写真にもオッサンの血は燃える。

でも・・・・でも テルテルが持ってきた来年のカレンダーには・・・・写真が無い。
「あれっ、写真は付いていないの？」と不満そうな私に
「今年は、コレなんですよ」と申し訳なさそうなテルテル。
「あの、レースクイーンとか載っていないの？」と迫る私に
「はい、今年はコレなんです」と繰り返すテルテル。

(何だ、わざわざ来なきゃよかった) と思いながら店から外へ出ると、雨に濡れないようにと気遣うテルテルは
店先にあったレースクイーンが持つ派手なパラソルを開いて私を先導。

でもさぁ、いくらパラソルを開いてくれても、持っているのはオッサンだからね。それ程嬉しくないのだ。

だから申し訳ないけれど・・・・・少し離れて歩いた。