数年ぶりに義弟との再会。
お互いの老け顔に 一瞬だけ絶句したものの 記憶の写真をリセットした瞬間
ワープが完了した。
頑張っても笑顔にはなれないのだが、形見分けを頂き 今日は記憶を辿っての釧路湿原一周。
荒涼とした湿原の風が 心の隙間を埋める。
番(つがい)で飛び去る丹頂の姿に何を思うのだろう。
色々なことを触れないようにして湿原の東端を北上し、多和平(たわだいら)に到着。
トイレが施錠されていて困り顔のルンバに「野ション」を勧めた辺りで少し表情が緩んだ。
「野ション」をすると この一帯はルンバの縄張りになると説得したのに、頑として耐えきる姿に脱帽。
摩周湖は凍結していなかった。
寒い中 湖面を見下ろすミニスカの姉ちゃんを「絶対にオトコだ」と言い張るルンバに驚き、湖に背を向けてミニスカ姉ちゃんを追いかける私。
湿原の西端を南下し戻る途中 数か所ある丹頂の給餌場に寄ると隣国の観光客がバスで乗り込んでいた。
私も負けずに隣国語っぽい語り口で チャーモンハーレイ インマオ インマオ (陰毛) を繰り返したが 意味を知っているルンバは他人のフリして逃げた。
湿原展望台を過ぎて急に車がスピードアップ。
カンが鋭いルンバは「ねぇ、トイレ? トイレなんでしょ? ガマンできるの?」
(ギリギリだから飛ばしてんじゃねえか・・・・・) と思い 心の中で(インマオ インマオ) と呪文のように叫びながらアクセルを踏み込んだ。