部屋干ししていた私のパンツをルンバが落した。
どうやら干してある位置を変えようとしたらしい。
拾い上げたスリスリが、そのパンツの薄さに驚愕。
「お父さん、スケスケだよ。これじゃ、見えるじゃん」と叫ぶ。
娘が思い描いているのは自分の故郷、若い頃頑張ってくれたジェームスの姿だろう。
だがルンバは無関心を装う。
思い浮かべたくもないようだ。
パンツがスケスケなのは安物だから。
染めがあまいので色落ちも激しいし繊維も細いのだろう。
今まで優しい声で「見せて」と云ったのは、泌尿器科の先生だけだ。
是非ジェームスに逢いたいと云う人が出たときのために取ってある少し高級のモッコリ型パンツは使う機会が一度も無いままだ。
年齢と共にどんどん萎びたジェームス。
スケスケの中に隠れている姿に、最早 絶好調時の面影は欠片も無い。