地震で被害を受けた珠洲市の小学校で久しぶりに授業が始まった。
先生は、地震のことが無かったかのように授業を始める。
そこに入ってきた他の市へ避難していた同級生。
直ぐに駆け寄って「大丈夫?」と言いながら軽くハグする担任教師。
「あっちの方は電気がきているの?」と同級生の声が飛ぶ。
教師は彼がスリッパを履いているのに気がついて、「何センチ?」と確認し同級生が靴を持ってきて大きさを確認する。
彼が机に座ると、横の子が机をくっつけてきて教科書を間に置いた。
誰一人泣いてなんかいない。
体育館は避難所になっているので体育の授業は机をよけた教室の中だ。
狭いエリアを楽しそうにクルクルと走る姿を見てホッとすると同時に目から何かが流れた。
授業が終わり教室を出て行く子供達へ「また明日も逢おうね」と送り出す女性教師。
きっと何人かは、まだ登校できない子がいるに違いない。
「学校へ来てくれるだけで嬉しいんです」と云う先生の目から授業中は必死に耐えていたのだろう、次々と涙が溢れた。
トイレに立ったルンバの隙をついて、私も自分がそっと築いたティッシュの山をギュッと潰しポケットへ隠した。