今年のお盆休みは、南アルプス南部、聖岳、赤石岳の縦走にチャンレンジ。13日夜、畑薙第一ダム駐車場で車中泊、翌14日早朝、井川町観光協会が臨時に出してくれる送迎バスで聖平登山口まで行き、その日は、聖平小屋で一泊。翌15日に、聖岳の山頂を踏み、兎岳、中盛丸山を越えて、百洞山の家で二泊目。16日に、赤石岳登頂後、下山。累積標高差約4,000m、南アルプス南部の人気コースだ。記録のため、少々長くなります。
8月13日夕方、新東名新静岡から2時間かけて畑薙第一ダム臨時駐車場到着。200台ほど停められるそうだが、お盆休み後半、天候も良くないため意外とすいていた。14日早朝まだ6時前だが、7時出発予定の東海フォレスト臨時送迎バス(通常は8時始発)を待つ人の列ができ始めた。この季節には、毎日アルペン号が一便出ているそうで、早朝、東京から登山客が到着してこの列となる。Takは、井川町観光協会の臨時送迎バス(要予約)で聖岳登山口まで行けたので、この列には並ぶ必要なし。この辺りは、備忘録で。
聖沢の聖岳登山口にて。このバスでの登山者は4名、全員単独だ。この皆さんとは、小屋で行動を共にすることになる。8:00出発。
一時間ほどで聖沢吊橋。ここからの急登は結構きつく、途中、女性三人組に声を掛けられて元気になる。
11:00大きな沢の水場到着。下は晴れていたが、この辺りからガスが上を覆い始めた。
11:35滝見平。落差の大きな滝が2つ並んでいるのは壮観。本来は後に聖岳が見え、さらに絶景のはずなのだが、今日は残念。
15日4:30昨夜のお宿、聖平小屋を出発。昨日は、13:00頃到着、その後、同じバスに乗り合わせた男性とのみ交わす。長野に転勤され登山環境は最高のようだ。今日は、聖岳を越え、百洞までのコースだ。
20分ほどで薊畑分岐到着。西に下ると長野側、便ケ島に向かう。ガスが晴れて東には富士山、北にはこれから向かう聖岳の手前、小聖岳。このあたりは、お花畑だ。
もうすぐ小聖。
5:45小聖岳(2,662m)到着。後は主峰、前聖岳。
6:40前聖岳(3,013m)到着。東には富士山。
これから向かう稜線。左手前から、兎岳、中盛丸山、大沢岳、百平から馬ノ背のなだらかな稜線の後、赤石岳。
赤石岳の威容。今日、明日は天気も良好で、絶好のタイミングでの登山となった。最近の悪天候が嘘のようだ。
真中の赤い建物が昨夜泊った聖平小屋。右の薊平からの稜線を辿ってきた。
聖平小屋のある南方向に望む、南アルプス最南端の山並み。右から上河内岳(2,803m)、茶臼岳(2,604m)、仁田岳(2,524m)、光(てかり)岳(2,591m)、イザルガ岳(2,252m)。この縦走も人気があるが、長野側からの入山となる。
7:00に山頂を後にするとすぐに雷鳥の親子とご対面、人を恐れる様子は全くない。人が少ない?
次のピーク、兎岳。500mの下りと300mの登りが課せられる。キツイ。
赤石岳が少しだけ近づいてきた。
小ピークをいくつかやり過ごすも、なかなか近づかないウサギちゃん。
ひーこらいいながら8:30兎岳(2,818m)到着。後の聖岳からやってきた。
聖岳からの稜線と、右下、補修されて使用可能となった兎岳避難小屋。
これから向かう稜線。なだらかな登りを経て小兎、右に方向を変え、中盛丸山、大沢岳、右に下り、今日泊る予定の百洞の頭。明日はその上、百平から馬ノ背を通り、赤石岳に向かう。
中盛丸山。ここもアップダウンが激しい。
10:10中盛丸山(2,807m)山頂。右の赤石岳(3,120m)から左に、小赤石岳(3,081m)、奥が悪沢岳(3,141m)、前岳(3,068m)、中岳(3,038m)、南アルプス南部の北部、ややこしいが、一方の盟主。
聖岳からのルート。聖もだんだん遠くなってきた。
11:00大沢岳を巻いて、百洞山の家に到着。今日はここ泊まり。かなり早いが、明日に備えて早寝早起き。晩食は、なんと、揚げたてとんかつ、美味し!
16日4:15、百洞山の家出発。急騰を詰めると昨日の中盛丸山、大沢岳が望める。実は、小屋を出てすぐにあるはずの大沢岳、赤石岳分岐を見落とす。登るうちに朝日が左から出てきてあわてる。赤石は北、朝日が左ということは南に向かっている??しばらく明るくなるのを待ち、周囲が見えるようになってから、正しい方向であること判明。ヤマケイの地図ではコンパスだけだとよくわからない。
5:25百平。今日の天気も申し分ない。赤石岳山頂がくっきり。
右の赤石岳から、悪沢、中、前。
さらに南アルプス北部を望む。
朝日に映える北アルプス。
赤石岳ピーク手前のガレ場。右に大きくトラバースする。
来し方を望む。まぁ~よく来たもんだ。
ザレ場の小ピークを越えると、山頂付近が現れる。山頂はこのさらに奥。
6:55赤石岳山頂。富士山も逆行だがくっきり望める。
聖岳と、左側、東尾根、右が兎、中盛丸山。
悪沢岳を中心とした北部の山稜。
聖をバックに、お疲れさん。
これからむかう下山方面。手前が小赤石。その手前を右、椹島方面へくだる。
7:15ピークを後に下山。椹山発のバスが14:00で最終だ。2,000mを一気に下るが、心配なので早出。今日のピークは晴天かつ、ほぼ無風の絶好のコンディションで、もっと長居したい気分だった。椹島と小赤石分岐から見た赤石山頂と北面の北沢カール。8:30頃にはガスが出て、山頂方向は見えなくなってしまった。
12:15椹島ロッジに到着。ここは、南アルプス南部の登山基地だ。北は、千枚岳、悪沢岳方面、西に赤石岳、少し下って聖岳方面への登山道に通じる。東海フォレストのバスも、この椹島まで送迎してくれる。13:00発のバスに乗って、畑薙第一ダムまで戻る。
車をピックアップしてすぐに、1kmほど下にある白樺荘に向かう。日帰り入浴なんと510円也。公共の交通機関も、ここまではやってくる。ひトッ風呂浴びて、いざ、我が家へ。お盆休最終日で渋滞が心配だったが、東名はほとんど渋滞もなく(事故渋滞があったが)、8:30には帰宅、やっと飲めるビールは美味い!
ということで、おつきあいありがとうございました。おっかなびっくり、南アルプス1人旅でしたが、途中途中でいろいろな人と出合い、飲み、なかなか楽しい山旅でした。天候は、15,16日以外は雨で、これ以上望むべくもない、恵まれたものでした。これで、そろそろ、雨男から卒業でしょう、ねぇ、Toshiさん?
どうでもよいおまけ>
・井川町は、あの望月選手のふるさと。南アルプス南部の玄関口、井川町。ダムと林業で栄えてきた町だが、TJARチャンピョンの望月選手のふるさとでもある。NHKの特集を見た方は、井川の集落で、お父さんとお母さんに出迎えられる望月選手を記憶されているだろう。
・TJAR2012年大会のコースが、荒川岳~赤石岳~百洞~兎岳~聖岳~茶臼岳~畑薙第一ダムだった。
・ちなみにこの井川町、辿りつくのが大変で、静岡市から約70km、途中、県道はあるが、コンビニもなく、1,000m級の峠を越えてこなければならない。車線の無い道も多く、夜は野生動物が跋扈する。(ちなみに、今回同宿だった方も、何か分からないが獣をひいた、と言っていた)。
・南アルプス、特に南部へのアプローチは厳しい。玄関口の井川町ですらこの状況。そこからさらに奥にある、椹島までたどり着くには、夏場は東海フォレストの送迎バス、井川町観光協会の送迎バス、それ以外の季節は、徒歩かチャリ、ということになる。バスで1時間かかる林道のチャリはあまり乗り気になれない。一昨年、Takもママチャリで青薙山登山道入り口まで行ったが、その4倍ほどの距離を覚悟しなければならない。
・畑薙第一ダムまでは、県道が通じているが、そこから先は東俣林道と呼ばれる、東海パルプ所有の私道となり、立ち入りは原則禁止。林業と恐らく中部電力のダム向けの作業道のため、補修が悪く、落石、路肩崩落など日常茶飯事で、自己責任での通行となる。一般車は入れない。
・この一帯は、大井川の源流で、赤石ダム、畑薙第一、第二ダムと、中部電力の大型水力ダムが並んでいる。中部電力さんと、東海パルプさんのおかげで、アプローチができるようになっている。
・さらにどうでもよいが、南アルプスは、水の宝庫、(南アルプスの天然水、は、南アルプス北部が源流)大井川、安倍川、富士川、そして天竜川の一部も、ここ南アルプス南部に源流をもつ。
・なんだか、山深くて、水に恵まれ、ステキそうに見えるが、山は急峻、崩壊が進み、ここに至る村落は、ことごとく限界集落(に見える)で、現実は厳しい。この登山道や、アプローチが、将来にわたり保護、整備されていくには、相当な理解と、関係各方面の協力が必要ではないか?
・こんな、行くだけでも面倒くさい南アルプスだけに、混んでいると言っても、北アルプスに比べれば格段に人影は薄い。しかし、百名山や、3,000m峰の登覇を思う人にとっては、避けられないのはこの地域。百名山ならば南部だけでも、塩見、悪沢、赤石、聖、光と5座、3,000m超は8座もある。やはり、南アルプスは魅力的だ。面倒くさいから、人が少なくてよいのか、もっと便利なら、何度も行けてよいのか、迷うところだが、現実的には、ハードルは高く、すきを突いていくしかなさそうだ。
・ちなみに、TJARの2012大会では、先ほどの、塩見岳~畑薙第一まで12時間で踏破するコースタイムとなっている。今回出合った人の最長が、千枚小屋から聖平まで、ヤマケイのコースタイムで15時間を12時間で歩いたものだった。山小屋2泊と言うのは、われわれサラリーマンにとってかなり難しい日程だが、得難い機会をもらったなら、やはり、このくらいのペースで回らないと、南アルプスは味わいきれない。トレーニングに励め。
備忘録
東海フォレストの送迎バスは、7月16日~8月31日まで、ダム臨時駐車場から、聖沢、椹島まで、一日5往復。夏のピークは臨時運行あり。百洞山の家、赤石小屋に宿泊する人が対象で、それ以外のテン泊は乗れない。また、井川町観光協会の送迎バスは要予約で、聖平小屋、茶臼小屋に宿泊する人が対象で、双方、料金は無料。ただし、帰りは、椹島からのみ、椹島ロッジで、小屋に泊まった領収書を提示する。最近、もらった領収書で乗車しようとする人がいるらしく、領収書提示後、今朝の宿泊場所を確認される。へろへろになってたどり着くと、とっさに思い出せなくて疑われるのでご用心。
それぐらい充実した10倍返し・・ぐらいの盆休登山でしたね。
これだけ晴れてくれると分かっておれば、限界集落、狸にバカされようとも、
走って行く元気が湧いてくるというものです。
トランスジャパンアルプスレースの望月さんの実家のあたりは記憶にあります。
山しかない林業の町で、やれることと言ったら登山しかない。
誰かが言ったように「山のトレーニングは山で!」を実践していると、いつか
トランスした喜びを得られるのですね。
(誰か長野に転勤辞令をだしてちょ~ぉだい)
Takさんが本気で打ち込む姿に刺激され、
Toshiも負けじとまた坂を登って行きます。
居ながらにして南アルプスを楽しんだ気でおりますが、やはり実物を拝んでみたい、
そう思える写真をありがとうございましたっ
ベストコンディション!
私みたいに年中山を歩いていても、こう連日晴天に恵まれることはなかなかないよ。
貴重なフリータイムをとことん楽しめたことに「乾杯!!」