竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

指先にひたすら母心袋掛

2024-11-04 | 今日の一句


2024年 秋
秋は果実の季節
ていねいにやさしくひとつひとつに袋掛

まっしぐら冬満月に貨車の列 丈子

2024-11-03 | 今日の一句


2024年 冬
踏切の警笛がなかなか止まない
長い貨物列車が轟音と共に通過する
行く手にはそれは見事な冬の満月

じわじわと父の父のひとこと冬満月 丈子

2024-11-02 | 今日の一句


2024年 冬
なにくそと思ったひとことが
今は亡き父のひとことをかみしめる
寒空にこうこうと満月

敗荷や誰とも会わず口きかず 丈子

2024-10-31 | 今日の一句


2024年 秋
秋の風雨に晒されて無惨な破れ蓮の姿
池の辺の老いた己をみる思い

木の実降る年ごとに負う句読点 丈子

2024-10-30 | 今日の一句


2024年 秋
木の実が落ちる晩秋
厳しい冬への備えを促すようだ
限りある余生にまたひとつの句読点とも

萩の風月命日がまたひと日 丈子

2024-10-29 | 今日の一句



2024年 秋
三回忌までは月命日の墓参をこころがけている
今年家族の不幸があった
墓参にさわやかな萩の風をいただいた


さがしてる謝るあいて穴惑い 丈子

2024-10-28 | 今日の一句


2024年 秋
謝る相手はもう彼岸
手遅れの謝罪は意味がない

ころあいと個々の決断朴落葉 丈子

2024-10-27 | 今日の一句


2024年 秋
人面のように大きい朴の葉が
音もなく地に落ちてくるが
一枚一枚それぞれの決断で枝を離れるようだ

障子張る刷毛に憶えの凹みかな 丈子

2024-10-26 | 今日の一句



2024年 秋
1室だけの和室の障子を張り替える
糊の刷毛の「凹みに
ほっとする懐かしさを感じる


秋雨にほそくかすかに荼毘けむり 丈子

2024-10-25 | 今日の一句


2024年 秋
火葬を待つやるせない時間
荼毘の白煙が秋雨にけむるのをみている