廃校の鉄棒に稲掛けてあり 井澤秀峰
農村に子供が消えている
農家に若い親たちが消えてから
廃校は毎年、増加の一途である
本来、刈り取りを終えた賑やかしい笑顔の飛び交う季節なのだが
作者の冷静な写実眼はこの景をものがさない
(小林たけし)
稲架】 はざ
◇「はさ」 ◇「稲干す」 ◇「稲掛」 ◇「掛稲」 ◇「稲木」(いなぎ) ◇「稲架」(いなか) ◇「稲城」(いなき) ◇「田母木」(たもぎ) ◇「稲棒」(ぼっち)
刈った稲を掛けて乾燥させるもの。竹や木で組み、田の中や畦に長く続いている。地方によっていろいろな組み方があり、ふつうは一段だが、北陸・出雲地方ではたいそう段数の多いものもある。干して乾燥させることを「稲干」といい、稲架に掛けることだけでなく、田の面や畦に並べることも含める。
例句 作者
今日立ちし稲架の匂へる夜の雨 森山夕樹
傾きて立ちたる駅や稲架日和 河原徳子
単線の客少くて稲架日和 壁谷公江
大稲架は百万石もうならせる 阿部千代子
掛稲のすぐそこにある湯呑かな 波多野爽波
榛名山在るが定めの稲架高し 矢島まさる
眼裏に祖母住んでいる稲架襖 山下邦子
稲架かげに唖ん坊と二人遊びけり 富田木歩
稲架一列きょうは天覧日和です 鈴木砂紅