寂しさを隠したつもりサングラス 法夢子 2014-06-28 | 夏 寂しさを隠したつもりサングラス 法夢子 サングラスは人格を変える サングラスは嘘を隠すのに便利である 寂しい顔は見せたくない かくしたつもりは 隠しきれないという事なのだ
住職の遺せし墨書送り梅雨 送り梅雨 2014-06-27 | 夏 住職の遺せし墨書送り梅雨 送り梅雨 先祖の墓のある寺の住職が亡くなって1年になる 本道には彼の書がいくつか表装されて掲げられている ゆっくりと鑑賞していると おりから大きな遠雷 そして俄かに大粒の雨 なかには雹までまじっている 送り梅雨 この季語が思い浮かんだ おくりづゆ [3] 【送り《梅雨》】 梅雨明けのときの雨。雷を伴い,時に豪雨になる。
いくとせのさみどり重く箒杉 法夢子 2014-06-26 | 夏 いくとせのさみどり重く箒杉 法夢子 昨日に続いての会津での吟行句 只見川の上流に竹下夢二の句碑があった 古刹 圓蔵寺はなかなかの趣 境内からは眼科に万緑の只見川 瀞の状態で流れはほとんどない 百年の緑を飲み込んだような色をしたいた 掲句は圓蔵寺奥の杉木立から 少しはなれたところにあった放棄すぎを詠んだもの 高さは20米超で樹齢は600年とか 先端には今年のさみどり そのしたに幾重にものみどりのつながり 同行俳友も同じ句材で作句していた 選句では点数は2とすくなかったが本人としては自得の作だ
朝まだき下駄の素足に小さき蝶 法夢子 2014-06-25 | 夏 朝まだき下駄の素足に小さき蝶 法夢子 23~24日 一泊吟行で福島県柳津温泉に句友18人で行った 圓蔵寺を訪れてからのゆうす置く前の句会 翌日は朝食後の句会 なごやかに楽しく俳句を楽しむ幸せを感じる2日間だった 掲句は朝の句会でのもの 選句点は少なかったが特別選者W氏の特選を得た 早く起床して只見川畔を散策したおりの実体験 素足と蝶の季語の矛盾は承知していたがあえて表現したもの 小さき蝶で素足が季語として大きいので気にならない と講評されたが、これでよいとは思えないでいる・・・
昼顔の巻き付きしまま枯れており 法夢子 2014-06-22 | 夏 昼顔の巻き付きしまま枯れており 法夢子 昼顔はその淡い小さなピンクな花姿に比してたくましい 我が家のフェンスにもほとんど土面の見えない路上から 芽をだしてその蔓をまきつかせ しばらくの期間 花をつけていた 今は枯れて花はないがその鶴はたくましく巻き付いたままだ 鶴はその細さに似合わずなんとも強く引きちぎるのは困難だ
会釈にもあやしき覚え夕薄暑 法夢子 2014-06-21 | 夏 会釈にもあやしき覚え夕薄暑 法夢子 夕暮れどきの散歩は欠かせない 現役生活をはなれてからしばらくの期間を経たおかげで 勝ち得た贅沢な時間だと感謝している 贅沢とは欲しいモノが欲しいだけ自分の自由になることだろう 時間そして空間 この自由が好きなだけ 行き交う人に会釈したりされたり はてどなただっけ 覺束ないがこれでなんら不自由はない
滴りの旅千年や磐あらう 法夢子 2014-06-20 | 夏 滴りの旅千年や磐あらう 法夢子 「滴り」という言葉に惹かれていてなんとか1句をものにしたいと思っているが 己の贔屓目にみてもまともな俳句が生まれない 先達の作品にはみるべきものはもちろん多いが 自分の着想とは相違していり 表題句もまだ推敲前の習作だが句意は理解されるだろう 山歩きの途中で山肌をつたう滴りに何度感激しただろう 千年あるいはそれを超える年月を経て姿をみせている滴り 全ての生き物の命の源泉そのもののように感じられる 合掌してから手をのばすのは当然だ
相棒となりてひさしき金魚かな 法夢子 2014-06-19 | 夏 相棒となりてひさしき金魚かな 法夢子 金魚鉢に日がさしていて眩しい 金魚は鮮やかだが迷惑そうである 水中の水草も汚れてしまう 鉢の場所を日陰に移してあげる 冷たい水を差してからゆっくりと少量の餌を与える 彼らは無言だがその泳ぎ方にはしっかりと喜怒哀楽があるようだ 長い付き合いになっているせいだろう 彼らの期限も少しは理解できる 無言の金魚 何を話しても反論しないでしずかに聞き耳をたてている いつからだろう 相棒はかけがえがない
青梅雨やバス停までの詩人めく 法夢子 2014-06-18 | 夏 青梅雨やバス停までの詩人めく 法夢子 青梅雨という言葉を知る 梅雨入り間近の季節、その雨模様をいうようだ 梅雨はじめじめと鬱陶しいが この梅雨は新緑を際立たせて目にも優しく 5月の爽やかさが残っている 小雨の降るバス停まで歩くのだが 歩調はゆるく少し風情を楽しんで この時間だけの詩人になっている自分がおかしい
勤行にふいと静まり蝉時雨 法夢子 2014-06-17 | 夏 勤行にふいと静まり蝉時雨 法夢子 夏の寺はなかなかである 炎天を汗して歩き山門を潜れば別世界 建物も樹木もすべてが壮大 緑陰も大きくひときわ濃いように感じる 蝉の声はやかましいが 周囲の景に溶け込んですぐに慣れて気にならない 蝉時雨がふいに止んだ とその時多数の修行僧による勤行が聞こえてきた
打水や地を這う風の夕まぐれ 法夢子 2014-06-16 | 夏 打水や地を這う風の夕まぐれ 法夢子 打水という習慣が昭和の時代まであった 現代ではホースで直接散水する 手桶に柄杓 白い手からの打水は その姿だけでも涼しげだった 水を打てば地表の熱が下がるので 冷たい風が集まってくる 夕まぐれのいっときの風物が懐かしい
蝉の羽化かなしきまでの月明かり 法夢子 2014-06-15 | 夏 蝉の羽化かなしきまでの月明かり 法夢子 月が明るい初夏の夜更け 蝉の羽化というドラマがある 七年とも10年ともいわれる地中での命が 地上での大きな変身 そしてそこからの生命はたった7日だという 月の光に照らされての営みはなんとも悲しい美しい 崇高が相応しい表現かもしれない
屋久島に飛魚の美味筋肉痛 法夢子 2014-06-14 | 夏 strong>屋久島に飛魚の美味筋肉痛 法夢子 屋久島の縄文杉を見たい 体力気力のあつ間でなければ不可能になる 仕事をリタイアしてスポーツクラブに1年間通った 体力に自信をつけて単身で屋久島へ 縄文杉は期待をはるかに超えて息をのんだが 途中での神秘的な何千年もの古代杉にも感動の連続だった 下山のあとに非都営立ち寄った食堂での 飛魚の分厚い切身 刺身の味は忘れられない 体全体の筋肉が喜びに震えていた
五月闇愛や命や蠢めけり 法夢子 2014-06-13 | 夏 五月闇愛や命や蠢めけり 法夢子 旧暦五月は太陽暦では6月で五月雨は梅雨のことだという 納得だ 鬱陶しい梅雨を五月雨としゃれるなんて日本人は偉い 五月闇 この例になぞらえて 雨上がりの夕暮れからの暗がりに よく見れば木の下にはたくさんのいのちの蠢きがみえる 夏を迎えるまでに小動物は必死である 種の保存への営みもある 雌雄を決する決闘もある 蠢く様のすべてがイノチガケ 人もこの野生を失ってからおかしくなったんだな
欲うすきはぐれ蛍の星に溶け 法夢子 2014-06-12 | 夏 欲うすきはぐれ蛍の星に溶け 法夢子 昨年の6月は宮島へでかけた ツアーへの参加だった、同行者30人ほど 妻とのフルムーンであった 途中で蛍を鑑賞するイベントがありしばし興じた 闇になれると蛍の生態がわかってくるようだ 中には 一人好きの「はぐれ蛍」もいたりして 目でおうとそれらは星になって消えてゆく