竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

廃校の桜に疵痕肥後守

2014-03-26 | 
strong>廃校の桜に疵痕肥後守  法夢子




少子化で小学校の廃校がすすんでいる
取り壊されることも多いがそのまま地域に利用されたりもしている

校庭には二宮金次郎の石像 そしてさくらの樹がかならずあった
私の小学生時代は鉛筆削りに使用する「肥後守」という小刀をみな持っていて
その桜の木にいたずらをしたものだった

憂き辛気しばらく隠し花団子

2014-03-25 | 
strong>憂き辛気しばらく隠し花団子  法夢子





陰鬱なこと 辛気臭いこと
生きていればこその喜怒哀楽
人には同量の幸せがあるのだという
感じかたに相違があるのらしい
同じ環境にあっても幸不幸の強弱硬軟はちがうのだ

せめて花見時
みんなが愉快にあるならば
己の憂き辛気はみせずに振舞おう

存在は沈黙にあり犬ふぐり

2014-03-23 | 
存在は沈黙にあり犬ふぐり 法夢子






もの言えば唇さむし秋の空  芭蕉

春になるとなにかと慌ただしく気もはなやいで
ついつい一言おおくなる
黙っていればどうということなく治まるのに
多言で無用な諍いが起きたりする

黙っていてこその存在感
だまって咲いて黙って散る
そして来年も黙って咲く野花に慰められるか

人盛り愚痴に自慢に花盛り

2014-03-22 | 
人盛り愚痴に自慢に花盛り 法夢子




花見の頃となる
最近は何本もの桜木が咲き誇っているものよりも
忘れられたようば一本の桜を見たりすると
落ち着くような気分になって和む
もちろんひと人に限るのだ

掲句の句意は次のとおりだが如

花見に興じて呑み歌い
勢いに任せての大声での放吟
自慢話に愚痴のあれこれ
こうした時は花藻さかりだが
人もまた人生の盛りなんだと実感する

鳥帰る遺すものなどなにもなし

2014-03-21 | 
鳥帰る遺すものなどなにもなし  法夢子




そろそろ渡り鳥がきたへ帰る季節だ
天敵を回避する知恵なのだろう
旅立ちは夜明け前が多いのだという

今日は彼岸の中日
人も生きるという旅をしている
老齢になればその旅も終が近い

鳥の旅立ちに習うが良いようだ
遺すものヴぁどなんにもない方がよさそうだ

とどまればたちまち芥花筏

2014-03-20 | 
とどまればたちまち芥花筏  法夢子





桜の開花が報じられはじめた
東京は28日あたりだそうだ

花の命は短くて と唄われるが
やはり戦争の「桜に碇」に思いは連なる

桜の花弁が濠や川に浮かぶとそれは綺麗だ
花筏とはよくも名づけたり

しかしとどまって流れなければたちまちにゴミに変わる


紀紀の時代に梅の花とともに歌われていた桜とは違う
その頃はみな山桜だった
ソメイヨシノはクローンなのだから
見てくれは派手だが内容は薄いというわけだろうか

山焼くや大義に死ぬる役まわり

2014-03-19 | 
山焼くや大義に死ぬる役まわり 法夢子





山が眠りからさめる頃に野焼きがさかんに行われる
害虫を退治したり枯れ草を肥料に変えたり
外来種を退治したりと
たくさんの理由もあり結果としての効果もあるものだが
しの大義に声を上げることもなく
何千何万の「いのち」も滅ぶのだ
生きるとは死者に支えられて過ごすことなのだ



丈子を法夢子に変えてみました
俳句は別人格になって表現できるとか言います
変身願望です 
法夢子はシャロックホームズの和名を洒落たつもりです

鎮魂の里に多くの花遊山

2014-03-18 | 
鎮魂の里に多くの花遊山 法夢子





東日本大震災から3年を過ぎた
ひところよりも被災地への支援は低落している
なにもしないよるは良いとはいえ
観光地のように物見遊山の花見に行くには
抵抗を感じてしまう


鎮魂の是も非もなくて花だより 法夢子

これは昨年の作句

重たきをみなひとさらい春の雲

2014-03-17 | 

重たきをみなひとさらい春の雲 丈子




春の空には真っ白な雲がゆっくりと流れる
夏の雲よりは小ぶりの積乱雲も移動する
厚みもあるのだが重みはない
重たきものはなんにもない
みなひとまとめにしてどちらかへ捨てにでもいくかのようだ

意気盛んしらすうなぎの春の海

2014-03-16 | 
意気盛んしらすうなぎの春の海 丈子




鰻は好物のひとつだがここ二三年の高値に並行している

好物といっても久の贅沢なのだから
上等な店で上等なものを頂きたと思っているので
ここしばらくは食していない

報道で絶滅品種かと騒がれたのが不思議なくらいの豊漁だという
価格は昨年よりも90%も安価だそうだ
今年は何度か楽しめそうだ


水温む季節 
海の温度も温んできて「シラスウナギ」も
進路にまとっているようだ

輩の愚痴や自慢や花盛る

2014-03-15 | 
輩(ともがら)の愚痴や自慢や花盛る  丈子




桜の開花予想がではじめた
東京は3月25日の予想らしい
仲間たちと4月12日に吟行を
東京芭蕉記念館で行う予定だが
隅田川沿いの桜が観えるかも知れない

掲句は追想句
若かりし頃の花見は酔いに任せて
こわおものなし なんでも大声で話したような
花も盛り 人も盛り

春寒しチラシに訃報紛れおり

2014-03-14 | 

春寒しチラシに訃報紛れおり  丈子



仕事からリタイアすると急速に社会との接点が減少する
郵便物にそれは顕著だ
販促のチラシの他はめっきりと少なくなった
旧友の脂肪通知がそれに紛れていたり
寒い春が続いている

不知のまま蟻の兵隊穴を出る

2014-03-13 | 
不知のまま蟻の兵隊穴を出る  丈子





今年の春はおそく啓蟄の後の寒さがきつかった
昨日はようやく春の陽気だったが
ここのところの世情はなんとも不穏だ

憲法9条論議が下火になったら
閣議で憲法解釈を変更するとかいっている

首相は独裁権限を保持していない事をしらないらしい
彼の祖父が60年安保で決定したことの拡大解釈は
売国に近いものに変貌しようとはしていないか?

穴の中で何も知らされずにいる国民
穴を出たら着せられるのは軍服かもしれない

柳芽二つ重ねて訃の報せ

2014-03-12 | 
柳芽二つ重ねて訃の報せ  丈子




柳がたくさん芽吹いてきた
春の到来が五感に触れる

めっきり減った郵便物
なんと訃報の葉書が2枚も

春愁である


柳の芽(やなぎのめ) 仲春

子季語 芽柳、芽ばり柳  関連季語 柳、柳絮

柳の新芽のこと。柳が芽吹くのは桜の花のころと重なり、その柔らかな緑の芽は古来春の
代表的な色どりとして「柳桜」と愛された。新芽の前に花を咲かせるが、目立たない。