竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

洗顔は冷水と決む呆けだまし たけし

2018-01-30 | 
洗顔は冷水と決む呆けだまし



乾皮摩擦には及ばないが
洗顔は水と決めている
今冬はなかなか厳しいかんじだが続けている
洗顔後の爽快感はなんともいえない清々しさを味わえる
こんな毎日が継続することが至上の幸福なのだと思い始めている


原句発表2016/2/2街118
ルーチンと云ふ呆けだまし寒の水
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おともなく支えるゐのち霜柱  たけし

2018-01-29 | 
おともなく支えるゐのち霜柱




今年の寒さは記録にもないそうだ
春をまつ たくさんの命
しずかにその命をはぐくんでいるのだろうと思う
そしてその命を支えているのは霜柱そのまのだと感じられる

原句発表 2016/2/2街118
たしかむるゐのちの重み霜柱
原句打破自分の体重をたしかめただけだが
霜柱の支える命は計り知れないことを知る
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たましひのどこへ寄り道日向ぼこ   たけし

2018-01-28 | 
たましひのどこへ寄り道日向ぼこ



古希をすぎればみな余生
この先はみんなおつり
寄り道も無駄話も遠慮はいらない
もう失敗も後悔もありようもないのだから


発表 2016/2/2 街118
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雪婆朽ちし案山子と添い寝かな たけし

2018-01-27 | 
雪婆朽ちし案山子と添い寝かな





今冬の寒波は有史以来とか
私は北海道にしばらく暮らしたことがあるが
暖房の備えも内地呂は違うので
室内は軽装で過ごしていた
内地の家は徒然草ではないが夏仕立てばぼで冬は辛い

田畑は一面の白銀で覆われている
放置してあった用済みの案山子もみwない
雪婆にしっかりと羽交い絞めのような添い寝の悲鳴がきこえてきる


原句発表雪2015/2/15 街112
雪婆の朽ちし案山子に潜みゐる
潜り込んだだけではおもしろもに欠けていた
添い寝にまでつっこんだが案山子には迷惑だったかもしれない
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干大根メガソーラーに怪訝顔  たけし

2018-01-26 | 
干大根メガソーラーに怪訝顔





休耕田にソーラーパネルが設置されている
老夫婦だけの大きな農家にソーラーパネルの売り込みが一時盛んだった
今では一時のブー、ウはすっかり消えた
干大根と同じ日差しを浴びるのだが
不倶戴天と言わざるを得ない

原句発表 2015/2/15 街112
干大根メガソーラーと相容れず

相容れず」は直接過ぎたようぬ感じて改めた
句意は変わらない
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白障子座敷童子の覗き穴  たけし

2018-01-25 | 
白障子座敷童子の覗き穴



お正月の賑やかも落ち着いて
静かな暮らしが戻ってきた
暮れに張り替えた障子に穴が開いている

正月に大暴れして喜んだ孫の悪戯の名残だ
しばらくはそのままにしておくつもり

原句発表 2015/2/15 街112
白障子座敷童の涙痕

「涙痕」はほんとうだが悪戯三昧の指朝栃の方が
句意に近い
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ご神木ふぐり落としを見届ける  たけし

2018-01-24 | 
ご神木ふぐり落としを見届ける




この国の神様はなんとも洒脱
こんな厄祓もあったそうな
褌は相撲と祭の道具立てになってしまったが
日本男児はみな褌に「ふぐり」を収めたのだった
ご神木の下でなにやらモゾモゾ
しっかり見届けるのも神様の営みか


原句発表 2015/2/15 街112
御神木ふぐりおとしの半裸かな

半裸かな」が句意を低俗にしてしまった



ふぐり落し
褌を落とすことで、厄落の一方法
誰にも見つからない様に褌を境内におとしてくる

例句もけっこうある

街の灯のゆるびてふぐり落しかな 大林勉
おづおづとふぐり落して真の闇 加古宗也
ふぐり落し来て着く男点前かな 加古宗也
ふぐり落し赤き顔して戻りきし 滝沢伊代次
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げんげ野に昔の俺が仁王立ち  たけし

2018-01-23 | 
げんげ野に昔の俺が仁王立ち





ゆるんできた風に誘われて近くの河川敷を歩く
げんげの原っぱがつづく
誰もいない野を大股で真っ直ぐ進む
腰に手を当て大きく伸びをする
両手を天にあげて顔を空に思い切りむけてみる
半世紀以上も前の俺もこんなことしていたな


発表 2016/2/18 地梼圏67
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風紋の十方自在涅槃西風   たけし

2018-01-22 | 
風紋の十方自在涅槃西風




この季節
海浜の風はゆるんで来る
風向きは十方向で定まらない
お釈迦さまもおちつかない
風紋のかたちにもまとまりがない

たくさんの命がさまざまに動き出す
お釈迦さまも春はまどろんでばかりはいられない


発表 2016/2/11 地梼圏67

涅槃会「陰暦二月十五日」はお釈迦様の入滅の日にあたり、この
頃に吹く風の事をいう。美しい響きからも西方浄土が想象される
季語である。時期的には春の彼岸前後にあたり、一般的に浄土か
らの迎え風などとも言われる。
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梅東風や一輪車また立ち上がる  たけし

2018-01-21 | 
梅東風や一輪車また立ち上がる



一月も終わりに近く大寒も過ぎると
気分はいよいよ春めいてくる
東風にはいろいろな呼称があるが
梅東風が一番早い

掲句は何年か前のこの季節の情景
まだ小さかった孫娘が一輪車の稽古をしていた様子だ
その娘ももう高校生だ

発表 2017/2/16 岳40-4
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引き鴨の水輪にのこる羽音かな  たけし

2018-01-20 | 
引き鴨の水輪にのこる羽音かな




暖かくなると鴨は北へ帰る
別れを惜しむかのように
ひと冬を過ごした水面をゆっくりと周回する
仲間たちと合図したように一斉に飛び立ってゆく
水面にはたくさんの水輪
いつまでも羽音を形にしている

発表 2017/2/16 岳40-4
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しばらくは吾が身を知らず落椿  たけし

2018-01-19 | 
しばらくは吾が身を知らず落椿




椿はしっかりと花開いたままの姿で落ちる
そのまましならくは色を失わない
命の無残を訴えているよりは
その潔さを誇っているようにみえる


発表 2017/2/16 岳40-4
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牛蛙こんなに生きて不足さう たけし

2018-01-17 | 
牛蛙こんなに生きて不足さう



充分に生きたという実感がある
戦中のS18年生まれ
横浜の焼土から始まった人生だった
仕事にも家族にもたくさんの山谷があったが
現在の生活はそれらのひとつが欠けてもないと知っている

こんなに生きてまだ生かされている
なんの不足もない人生だった
あとは創造主にあずけよう

掲句はまだまだ我欲の捨てきれない老人を揶揄したもの

発表 2016/2/11 岳39-4

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春の雲心変わりも許しさう   たけし

2018-01-16 | 
春の雲心変わりも許しさう




どんよりと暗い重たかった雲が
真っ白になって風に乗る
また下界の様子を眺めるようにじっと浮いている

春は万物が「ハル」張る のだと誰かに聞いた
いじいじとくよくよと こうした感情は似合わない

心変わりも許されそう
許せば心も軽くなる



発表 2016/2/11 岳39-4
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なで肩になるいかり肩山笑ふ  たけし

2018-01-15 | 
なで肩になるいかり肩山笑ふ




春が近づくと
険しい表情をみせていた山々が
やわらかな表情をみせてくる

そうだ怒り肩が撫で肩にんってくる
人の表情もゆるんでくる


発表 2016/2/11 岳39-4
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