竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

厄日過ぐ身を締むるものみな外し 神田ひろみ

2020-08-31 | 今日の季語


厄日過ぐ身を締むるものみな外し 神田ひろみ

女性の本厄は33才
その年の厄日が何事もなく
過ぎて作者は安堵している
所作振舞に普段以上に気を張っていたが
心身ともにほっとしている感じが表れている
{身を締むるもの}は和服の紐ばかりではない
(小林たけし)




【二百十日】 にひゃくとおか(・・トヲカ)
◇「厄日」 ◇「二百二十日」
立春から二百十日目で、9月1日、2日ころ。二百二十日はそれから10日後。この頃は暴風雨に襲われることが多く、また稲の開花期にも当たることからその被害を案じ、農家では厄日としている。

例句 作者

物置で少年倶樂部読む厄日 星野明世
風少し鳴らして二百十日かな 尾崎紅葉
小百姓のあはれ灯して厄日かな 村上鬼城
砂濱に藻を焼く煙り厄日過ぐ 棚山波朗
川波も常の凪なる厄日かな 石塚友二
魚匂う俎板二百二十日過ぐ 青木千秋
ひらひらと猫が乳呑む厄日かな 秋元不死男
移り行く二百二十日の群鴉 高浜虚子
恙なき二百十日の入日かな 伊藤松宇
農暦いまも手許に厄日過ぐ 森田かつ子
高う飛ぶ蜻蛉や二百九日尽 松内大隠


露草も露の力の花ひらく 飯田龍太

2020-08-30 | 今日の季語


露草も露の力の花ひらく 飯田龍太

秋色ふかい一句だ
まだ残暑のきつい日常だが
朝の空気は秋がきていることを感じさせてくれる
かたわらの露草
花には露が零れそうだ
そうかこの露のちからで花は咲いたのだ
朝露はどの花をも咲かす力があるのだと知る
(小林たけし)


【露草】 つゆくさ
◇「螢草」(ほたるぐさ) ◇「月草」(つきくさ) ◇「青花」(あおばな) ◇「うつし花」
ツユクサ科の一年草。路傍に生え、柔らかく地に伏しやすい。秋、蛤形の緑色の苞葉の間から青色の花を開く。月光を浴びて咲くので月草とも。

例句 作者

露草や飯噴くまでの門歩き 杉田久女
百年計画露草は雨降る単位 小野裕三
薄明とセシウムを負い露草よ 曾根毅
露草に濡れてまた泣く隣の子 奥山甲子男
露草のつゆの色こそ朝の夢 鳴戸奈菜
露草の露を歩みの一歩とす 山下廣
露草やにはとり水を噛んで飲む 西野草几
露草や色なき水の色もらう 川崎益太郎

空蝉のいのちを生みし足構へ 根本文子

2020-08-29 | 今日の季語


空蝉のいのちを生みし足構へ 根本文子

空蝉に命はもう抜けているのだが
その足には力が漲っていて
容易にははがれない
この足の力こそ長い土中からの命を運んだのだ
(小林たけし)


【空蝉】 うつせみ
◇「蝉の殻」 ◇「蝉の脱殻」(せみのぬけがら) ◇「蝉の蛻」(せみのもぬけ)
蝉の幼虫は地中に数年から十数年間生息した後成長して蛹(さなぎ)となり夏、土から出て木の枝や幹に登り、背を割り皮を脱ぎ羽化して蝉になる。この脱け殻を「空蝉(虚蝉とも)」という。古来空しいこと、はかないことのたとえに使われてきた。《蝉:夏》

例句 作者

茂吉の墓空せみはみな脊を曲げて 松村蒼石
空蝉をのせて銀扇くもりけり 宇佐美魚目
空蝉をつぶすこはれぬものが欲し 伊藤トキノ
空蝉の両眼濡れて在りしかな 河原枇杷男
目を張りて空蝉となりゐたるかな 藤田あけ烏
空蝉のいづれも力抜かずゐる 阿部みどり女
旧姓といふ空蝉に似たるもの 辻 美奈子
空蝉の比較をこばむ貌並ぶ 五十嵐研三
燈籠に縋り空蟬華やげる 髙木智
空蟬の遠い日月掌に 小川公子



川の水澄み言の葉にある虚実 長井寛

2020-08-28 | 今日の季語


川の水澄み言の葉にある虚実 長井寛

一読難解 音律も破調気味だが
座語の虚実に不思議な調和を感じさせる
澄んだ川の水にてらして
可たる言葉のしらじらしさを詠んだものだと解する
(小林たけし)


【水澄む】 みずすむ(ミヅ・・)
秋は夏に比べ水が澄んでくる。夏の間濁っている沼なども、底の石まで透けて見える。河川、湖沼、池から井戸水まで水が澄む。

例句 作者

正装の魚ぞくぞく水澄める 吉住光弥
水といふ水澄むいまをもの狂ひ 上田五千石
水澄みて四方に関ある甲斐の国 飯田龍太
水澄みて水の底より鬨の声 小高桂子
水澄みて雲流れゆく梓川 柳下美砂枝
水澄みにけり読み書きは朝のうち 下田稔
水澄むや川面に浮かぶ鬼の貎 高林文夫
水澄むや底に岡本太郎の目 岡本久一
水澄むや錆びたる鎌にものいうて 高見道代
水澄めり 石の丸みと石の過去 鷲山千晴
水澄んで怪談多き城下町 内田庵茂
水澄んで段差になつてをり
し父 大石雄鬼

ひたすらに赤し颱風前の薔薇 桂信子

2020-08-27 | 今日の季語


ひたすらに赤し颱風前の薔薇 桂信子

空はどす黒く風もなまぬく強くなってきている
庭の薔薇は咲いて間がない
その真紅の薔薇がふるえている
その見事な赤色がより赤くみえるのが不思議
作者はこんなところを詠んだのか
(小林たけし)


【颱風】 たいふう
◇「台風」
熱帯性低気圧の発達したもので、大きな空気の渦巻きである。南洋や南シナ海に発生し、北上して日本列島やアジア東部を襲う。夏から秋にかけて多く発生するが、台風が過ぎれば、あとは秋晴れの好天となる。

例句 作者

不夜城を見て颱風のいきいきす 佐野笑子
九州で台風なぜか右折する 平瀬元
人の眸の細く鋭し颱風後 桂信子
人生の台風圏に今入りし 高浜虚子
台風が逸れて肉屋に肉並ぶ 伴場とく子
台風が過ぎ去り魚に成り切った 堀節誉
台風すぐ沖にいて家並みの灯 服部修一
台風にゐて東京に出口なし 佐分靖子
台風に目ありピエロに泪あり
花谷清

白秋の風の筋目に橋をおく 村井和一

2020-08-25 | 今日の季語


白秋の風の筋目に橋をおく 村井和一

三浦海岸城ケ島のある白秋の歌碑
大橋の下に詩情豊かに建立されている
掲句は白秋と白秋碑を底通させているのだろう
鮮やかな手法である
(小林たけし)



【白秋忌】 はくしゅうき(・・シウ・・)
11月2日。詩人・歌人・童謡作家、北原白秋の忌日。1942年没。享年57歳。「思ひ出」「桐の花」等により、大正期に詩歌の新時代を確立した。

例句 作者

菱の実の角むらさきに白秋忌 中尾杏子
飯桐の実こそ赤けれ白秋忌 中村わさび
くずし字を詠まんと秋の白秋碑 吉本孝雄
ほつほつと白秋館の蟬の穴 石川美智枝
水仙の彼方は波濤白秋碑 大沢友江
紅い芙蓉をひとまはりして来る子です 北原白秋
霰ふれども濡れざるは白秋碑 松澤昭


この町の子供減りたる地蔵盆 畑乃武子

2020-08-24 | 今日の季語


この町の子供減りたる地蔵盆 畑乃武子

掲句の「この町」は「この国」と読み替えたいほどに実感だ
国威も国力も子供が担う
古来、地蔵盆には子供が群がるものだが
習慣も季語も長くは続きそうには思えない
(小林たけし)

【地蔵盆】 じぞうぼん(ヂザウ・・)
◇「地蔵会」(じぞうえ) ◇「地蔵参」 ◇「地蔵祭」 ◇「六地蔵詣」 ◇「地蔵幡」
盆の24日は、地蔵菩薩の縁日で、この日を中心にした祭を地蔵盆という。地蔵は子供を守るということから、子供中心に行われ、子供たちが供物を貰ったり、余興が行われたりする。

例句 作者

クロボウといふ駄菓子ふふ地蔵盆 西川由紀子
地蔵会の蝋涙おちて水に浮く 横山白虹
灯の外のあの子この子も地蔵盆 谷口洋
行き過ぎて胸の地蔵会明りかな 鷲谷七菜子
笹立てて嵯峨の辻々地蔵盆 鈴鹿野風呂
地蔵会や線香燃ゆる草の中 高浜虚子
にぎやかに児の泣く声も地蔵盆 河野静雲
地蔵盆すぎし亀の子束子かな 渡辺 昭
地蔵盆つむり大小寄せ合へり 永方裕子
数珠廻す子らも減りたる地蔵盆 竹田幸子






音すべて大樹に吸はれ処暑の宮 大塚正路

2020-08-23 | 今日の季語


音すべて大樹に吸はれ処暑の宮 大塚正路

時折にあの暑さを忘れる気配
宮の大樹の木漏れ日が懐かしい
蝉の声もなく虫の声にはまだ間がある
そんな静けさか
(小林たけし)


【処暑】 しょしょ
二十四節気の一つ。立秋から15日目、8月23日、24日ころに当たる。猛暑もいよいよ衰えを見せ、新涼が間近いことをいう。

例句 作者

処暑過ぎぬ街三角の景に満ち 神田ひろみ
石臼の今は踏み石処暑の風 斉藤和子
鳰の子のこゑする処暑の淡海かな 森 澄雄
熱き茶を給はる処暑の峠かな 宮川杵名男
山を見ていちにち処暑の机かな 西山 誠
家居してもの書く処暑の雨涼し 小倉英男
櫨の木の映りて処暑の水明り 深見かおる
処暑なりと熱き番茶を貰ひけり 草間時彦

海原を共に眺めん赤とんぼ 須藤火珠男

2020-08-22 | 今日の季語


海原を共に眺めん赤とんぼ 須藤火珠男

作者は海原に何をみているのだろう
望郷の海か
来し方の邂逅と別離のワンシーンかも知れない
海を赤とんぼと一緒に見ようと独白が重い
(小林たけし)



【赤蜻蛉】 あかとんぼ
◇「秋茜」(あきあかね) ◇「深山茜」(みやまあかね)
小形で体色が赤みを帯びた蜻蛉の俗称。雄は赤色、雌は黄褐色である。秋空に群れる赤蜻蛉の姿は、秋の涼気を誘う。爽やかな秋の象徴といえる。

例句 作者

生きて仰ぐ空の高さよ赤蜻蛉 夏目漱石
石の上置かれたやうに赤とんぼ 窪田せつこ
秋あかね爆弾持たない身軽さで 伊藤眞一
経上ぐる掌に吸ひつきぬ赤蜻蛉 佐藤映二
耳打ちを面白がって 赤とんぼ 玉置浩子
肩に来て人懐かしや赤蜻蛉 夏目漱石
赤とんぼじっとしたまま明日どうする 風天
赤とんぼみな母探すごとくゆく 細谷源二
赤とんぼ一人を拾う山のバス 鈴木世記
赤とんぼ今日はどの指停めようか 針ヶ谷久枝
赤とんぼ列車待つ間の無人駅 多田英治

生き下手とひとりで決めて新酒酌む 大須賀善和

2020-08-21 | 今日の季語


生き下手とひとりで決めて新酒酌む 大須賀善和

作者は自分を生き下手といいながら
自分の来し方を振り返って
充分に肯定していることが分かる
星雲の志は叶うはずもないのだが
それは決して間違いではなかった
作者の晩節を思う感懐であろう
共感できるところだ
(小林たけし)


【新酒】 しんしゅ
◇「今年酒」 ◇「新走」 ◇「利酒」(ききざけ)
新米で醸造した酒。かつては収穫後の米をすぐ醸造したため、新酒は秋季であった。現在では寒造りで秋に造られることはない。

例句 作者

あらばしり幸福語らしめる夜 赤野四羽
けったいな先生やねん新走り 鈴木明
今年酒小匙一杯半ほどの酔ひ 安田雪松
告白は新酒の力借りてせり 遠藤古都女
新酒酌む泉下のひとと語るべく 近藤栄治
新酒酌む透明にひろがる原野 髙尾日出夫
新酒醸すガーゼのようなともしびに 今田清乃
日の光りあふるる市街新酒の荷 國定義明
生き下手とひとりで決めて新酒酌む 大須賀善和
羅漢午次郎偲ぶ上総の新走り 吉田笑
越後より嘘つきにくる新走 藤田守啓

祖母の声もともにたたんで秋扇 桂信子

2020-08-19 | 今日の季語


祖母の声もともにたたんで秋扇 桂信子

一読では解しがたい
二読して誰もがうなずくことになる
年老いた祖母の話し相手にやさしくなっていたのだが
とりとめのない話はいつまでも終わらない
少しの後ろめたさを感じながらも
その時間をたたむ
声も扇とともに畳んだという信子がよく分る
(小林たけし)



【秋扇】 あきおうぎ(・・アフギ)
◇「扇置く」 ◇「忘れ扇」 ◇「秋扇」(しゅうせん) ◇「名残の扇」 ◇「捨扇」(すておうぎ) ◇「秋団扇」(あきうちわ) ◇「団扇置く」 ◇「捨団扇」(すてうちわ)
秋になって顧みられなくなった扇。また、残暑の候なお用いている扇。夏の名残を惜しむ心が湧く。夏の外出時に持ち歩いた扇が使われないままバッグの底にあることもいう。同じく「秋団扇」は秋になっても用いるうち団扇。または、しまわずに置いてある団扇のこと。

例句 作者

ひっそりと忘れ扇の物語 手塚逸山
ひらきたる秋の扇の花鳥かな 後藤夜半
オペラ座の序曲始まる秋扇 赤尾恵以
世は不況わたしは不興秋扇 中嶋秀子
乘り換へて女かしまし秋扇 松村筐花
捨扇三島由紀夫は死んだはず 小野裕三
秋扇や寂しき顔の賢夫人 高浜虚子

新涼の身にそふ灯影ありにけり 久保田万太郎

2020-08-18 | 今日の季語


新涼の身にそふ灯影ありにけり 久保田万太郎

中七は万太郎ならではの表意
他になにも言っていないのが憎いところだ
新涼 季節がうつろう短い時間
万太郎は己の境涯の現身を客観視しているのだ
(小林たけし


【新涼】 しんりょう(・・リヤウ)
◇「秋涼し」 ◇「秋涼」(しゅうりょう) ◇「初涼」(しょりょう) ◇「涼新た」
秋に入ってから立つ涼気をいう。夏の暑さが去り、新鮮な初秋の涼しさである。暑さの中に一服の涼を求める「涼し」(季:夏)とは区別される。

例句 作者

人祈るかたちいろいろ涼新た 和田順子
仏像の事典みつけし涼新た 渡辺禎子
揺れているのは新涼の旅心 田中朋子
新涼にスープ待つ間の草ひばり 下村豊子
新涼の剃刀触るゝ頬たかく 西島麦南
新涼の森は胞衣なりドラム打つ 加茂踏青
新涼の水飲んでいる寺の猫 平本悦子
新涼の焼き立て工房メロンパン 西村辰子
新涼の舷をつ打つ夜の水 金山桜子

秋めいて郵便受けのカタと揺れ 倫アツコ

2020-08-17 | 今日の季語


秋めいて郵便受けのカタと揺れ 倫アツコ

気温、湿度の高い夏ではあったが
ふと耳にするこの音は郵便受に郵便物の落ちる音
作者は乾いた秋の気配をこの音で知りえたのだろう
作者の感性を感じる一句
(小林たけし)


【秋めく】 あきめく
◇「秋兆す」
本当に秋らしさを感ずるころ。8月も終わり頃になれば、目にも耳にも秋のたたずまいを感じるようになる。秋の状態になってくること全般をいう。

例句 作者

洗濯を終へて秋めくおばあさん 宮本佳世乃
秋めきし闇のやさしく流れをり 松澤昭
秋めきて風なきに散るもののあり 古谷あやを
秋めくやいささ群竹風に鳴り 西垣左京
秋めくやギリシャ神話の天球儀 中島隆
箒木に秋めく霧の一夜かな 西島麦南

逆縁の迎火焚いて老ひとり 上林白草居

2020-08-16 | 今日の季語


逆縁の迎火焚いて老ひとり 上林白草居

なんとも切ない句ではあるが
逆縁の吾子の門火を焚く老女の姿が浮かんでくる
その身の不幸に耐えてきた芯の強さを感じる
座五の「老ひとり」が全てを語っている


【門火】 かどび
◇「迎火」(むかえび) ◇「魂迎」(たまむかえ) ◇「魂送」(たまおくり) ◇「送り火」(おくりび) ◇「苧殻」(おがら) ◇「麻殻」(あさがら) ◇「苧殻火」 ◇「苧殻焚く」
盂蘭盆で祖先の霊を迎え、送るために門前で焚く火をいう。一般に苧殻(皮を剥ぎ取った後の麻の茎を干したもの)を焚く。「迎え火」は13日の夕方、「送り火」の16日夕方に焚かれる。

例句 作者

迎火や海よりのぼる村の道 中 拓夫
かりそめの母と呼ばれつ苧殻焚く 青木蔦女
【門火】 かどび
◇「迎火」(むかえび) ◇「魂迎」(たまむかえ) ◇「魂送」(たまおくり) ◇「送り火」(おくりび) ◇「苧殻」(おがら) ◇「麻殻」(あさがら) ◇「苧殻火」 ◇「苧殻焚く」
盂蘭盆で祖先の霊を迎え、送るために門前で焚く火をいう。一般に苧殻(皮を剥ぎ取った後の麻の茎を干したもの)を焚く。「迎え火」は13日の夕方、「送り火」の16日夕方に焚かれる。

例句 作者

迎火や海よりのぼる村の道 中 拓夫
かりそめの母と呼ばれつ苧殻焚く 青木蔦女
逆縁の迎火焚いて老ひとり 上林白草居
送り火の名残の去年に似たるかな 中村汀女
去年母も共に門火を焚きゐしに 五十嵐 桜
別れたる人の迎火焚きにけり 松本ヤチヨ
木天蓼の白葉吹かるる魂送り 沢田まさみ
西方は遠し送火消えであれ 野島無量子
風が吹く仏来給ふけはひあり 高浜虚子
老母の苧殻の炎ぽと消えぬ 永方裕子
送り火の名残の去年に似たるかな 中村汀女
去年母も共に門火を焚きゐしに 五十嵐 桜
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素もぐりのぽつかりと浮く終戦日 石倉夏生

2020-08-15 | 今日の季語


素もぐりのぽつかりと浮く終戦日 石倉夏生

私は敗戦日を終戦日と言うことに常に違和感を覚える
しかし掲句を敗戦日としたら句にはなるまい
敗戦日を終戦日と宥めるような言い方に納得させられた
(小林たけし)


終戦記念日】 しゅうせんきねんび
◇「終戦日」 ◇「敗戦忌」 ◇「敗戦日」 ◇「八月十五日」
8月15日は、昭和20年、日本が連合国側のポツダム宣言を受諾し、第二次世界大戦が終了した日。戦争の根絶と平和を誓い、戦没者を追悼する行事が全国各地で行われる。

例句 作者

たくさんの目玉が乾き終戦日 和田浩一
ひとつづつ玉子にシール終戦日 小高沙羅
八月のゆふべふかんど十五日 松澤昭
八月やひのとひつじの十五日 松澤昭
敗戦忌何年たっても消えない紐 米沢幸子
日影から日向見ている終戦日 吉田成子
松杉うらがは八月十五日 松澤昭
歩を倦まぬ象と子らの頭終戦日 古沢太穂
糸巻に昭和の名残終戦日 漆崎とし子
素もぐりのぽつかりと浮く終戦日 石倉夏生