泪目の大鮭一尾簗終い 流伴 2017-10-31 | 秋 泪目の大鮭一尾簗終い 那珂川の簗には何度も訪れた 春の上り鮎 秋の落ち鮎 近くの店で塩焼きにして食することができる 2年前に丁度、簗を終うところへ遭遇した 簗に一尾の鮭が横たわっているのを見た 原句 2015/11/15 那珂川の鮭に泪目冬隣 季語が不適 季語を変えて語順を変えてきた
秋夕焼切絵のように鳥の列 流伴 2017-10-30 | 秋 秋夕焼切絵のように鳥の列 秋の夕焼けは夏のそれとは違ってもの寂しい 空が住んでいるので空は本当に焼けているようだ 切絵のような山影 鳥が列成して飛んでいく 原句 2015/11/15 夕まぐれ切絵のやうな鳥渡る 雄まぐれが唐突の措辞 鳥渡るもそのまんま
来し方も行方も揺るる尾花波 2017-10-28 | 秋 来し方も行方も揺るる尾花波 近くの河川敷には芒が密生していて 風に一斉に揺らいでいる 西から東への風が多い 芒穂は同じ方向に頭を揺らす 私に向かってくる波が 私を超えてなた流れるように進んで行く 原句2015/11/15 一生のはじめのおわり芒晴 これは言い過ぎているようだが 句意が不明だった
さもしさを匿すもさもし懐手 流伴 2017-10-27 | 冬 さもしさを匿すもさもし懐手 懐手は何かを隠している仕草だ 凶器を隠す凶漢もうれば 悲嘆や嘆きを感づかれない仕草もある もっとも哀れなのはさもしさをかくしたつもりが ますます惨めになることだろう 原句 2014/11/15 さもしさを隠すもさもし懐手 隠す が 匿す に変わっただけだがこちらのほうが 句意にちかそうだ
言い分も鉾も納むや枯木立 流伴 2017-10-26 | 冬 言い分も鉾も納むや枯木立 /strong> 春の芽吹き 夏の木漏れ日 そして木陰 秋の紅葉 落葉に枯葉 あれほどに雄弁だった樹木が ひっそりと冬支度の装い 何か一言引いたげに感じるのは私だけだろうか 原句2014/11/15 裸木に敵味方なく止まりおり 裸木は街路樹なのだが 同じ格好同じ風情に敵味方の違いはないと思ったのだが 措辞が曖昧の表現であったようだ
ジョギングに破調の増ゆる朝の冷え 2017-10-25 | 秋 ジョギングに破調の増ゆる朝の冷え ジョギングはもう出来ないが朝の散歩は欠かさない 小さな神社まで往復40分 寒くなると歩調がそろわない 無理をしないで 無茶をするなよ どこかで囁かれているような 掲句はジョギングにして気取っている 原句 2014/11/15 ジョギングに悴む手足破調なる 悴む手足では説明し過ぎだったと気づいた
無無しの男気だのみ松手入れ 流伴 2017-10-24 | 秋 無無しの男気だのみ松手入れ 玄関の前に赤松がある 植栽したのは40年ほど前になる 植木職に年に1度手入れをしてもらっていたが 10年ほど前から見様見真似で自分で手入れしている 最近は梯子に上るのにも勇気を要する始末で なけなしの男気を絞っての作業だ 去年はさぼってしまった、今年もまだ手付かずでいる 原句2014/11/15 無無しの男気しぼり松手入れ
新豆腐そえし一葉にあらたまる 流伴 2017-10-23 | 秋 新豆腐そえし一葉にあらたまる 新豆腐は今年収穫した新しい大豆でつくった豆腐。 その秋にとれた大豆だけに滋味深い。 市販ではなかなか食卓にはのぼらないが たまに手に入るととっておきの器に一葉をそえてみたり 風情のある夕餉が演出される 原句 2014.11.14 新しき器に一葉新豆腐 新しき器はほとんど無駄啞言葉だった 新豆腐と一葉でじゅうぶんだろう
大空にもの云っている木守柿 流伴 2017-10-22 | 秋 大空にもの云っている木守柿 木柿は来年もまたたくさんの実をつけるようにとの願い また鳥たちへの優しい心遣い それなりに理由がある 日本人の心の豊さを感じさせる 上品な心遣いは日本人の美徳だと思うが 最近の施錠にはナンセンスばかりで薄っぺらさに落胆する 原句 2014/11/15 青空がもったいなくて木守柿 青空がもったいない」にこだわったのだが 季語の座五がどうにも収まらない
片足は空に溶かして秋の虹 2017-10-21 | 秋 片足は空に溶かして秋の虹 秋の虹は夏の虹と違って淡い色彩が良い 両足がみな見えることはほとんどない 秋の澄んだ空に淡い七色の霞みはあわれでもある 原句2014/11/15 ひとまたぎ地球を測る秋の虹 気に入っていたのだが 秋の虹の理由がない むしろ夏の虹の逞しさが相応しい
愛き時も鬱たる時も青蜜柑 流伴 2017-10-20 | 秋 愛き時も鬱たる時も青蜜柑 青蜜柑は早生蜜柑でまだ熟しきってはいない これからが正念場の本物の評価だ 愛き時も鬱たるときもそのままということはなく 次のステージまでの一幕である 青蜜柑のように次に正念場が舞っている 2014/11/15 原句のまま
木枯や逸れ鴉のもの想い 流伴 2017-10-19 | 冬 木枯や逸れ鴉のもの想い 立冬には少し間があるが今日は師走の陽気dらる 雨は冷たく風もある 温度は10℃を下回っている ぬれそぼった一羽の鴉が窓から見える 逸れるにはそれなりの理由があるのだろう ものおもいにまだ決心がつかないのかもしれない 私も来し方にたくさんの岐路があった その都度の選択が誤り出なかったとは言い切れない 原句 2013/11/15 木枯らしを哲学してる大鴉 句意は同じだがやはり物足りない 名詞止の座五には余韻がない
尾花波はるかにわたる高架下 流伴 2017-10-18 | 秋 尾花波はるかにわたる高架下 近くに渡良川の支流「思い川」がある T市との境界にもなっていて川幅も広い 高架橋ができて15年ほどになる 60代の頃はほとんど毎日散策のコースだった 高架から覗く どこまでもどこまでもこの季節は川の両岸は芒が原となる 原句 2013 2013/11/15 高架橋歩いて独りわが小春 なんとも初学らしい素直な句 わが小春 にそれなりの工夫をしたようだが
嬰児のにぎにぎしてる冬日かな 流伴 2017-10-17 | 冬 嬰児のにぎにぎしてる冬日かな 生後一年未満の赤ちゃんが 冬の日差しをつかまえるかのように両手でにぎにぎしている そんなベビーカーに講演で遭遇した 原句2013 2013/11/15 嬰児の拳のなかに冬日差し 嬰児の拳が印象的だったのだが 意には拳が少し固い感じで冬日差しとのつながりが悪い
邪魔な声かけ短日の庭仕事 流伴 2017-10-16 | 秋 邪魔な声かけ短日の庭仕事 秋も深まってくると 自宅の小さな庭に 桜、柿、山法師などの落葉が溜まっていて 雨の風情は悪くないがその後はなんとも見苦しい 夏の間に手を抜いた草むしりの荒れようも凄い 冬支度まではできないが 短い日の中で庭仕事をしていると ご近所さんや通りすがりの人が声をかけてくる ちょっと迷惑だ 原句 2013 2013/11/15 まだ無駄話短日の庭仕事 掲句と同意だがどうか