竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

健忘症なれど物知り生身魂 丈子

2023-10-31 | 第一句集「裂帛」自選


まだら呆けの健忘症だが
昔の事、役に立たない知識は忘れない
寄する年波には逆らえない





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秋の蚊の飛ぶ気のなくて飛ぶそぶり 丈子

2023-10-30 | 第一句集「裂帛」自選


この季節の蚊は飛ぶのか飛ばないのか
どちらの意思かが曖昧だ
自身でも分からないでいるのかもしれない

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朝霧のなかにハモニカスナフキン 丈子

2023-10-29 | 第一句集「裂帛」自選


富士山麓での霧の朝
聞こえるはずのないハモニカを感じた
ムーミンに登場のスナフキンが近づいてくる

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去年よりずっと近くに天の川 丈子

2023-10-28 | 第一句集「裂帛」自選


晩節に仰ぐ天の川
星になっれいるたくさんの家族や友人
天の川が近くに見えるのは気のせいだけではない


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菊の酒こころの襞を推られる 丈子

2023-10-27 | 第一句集「裂帛」自選


長生を家族に祝われるのはこそばゆいが
余命のいくばくを推られれいる気がする

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生身魂あたまの皿に水が無い 丈子

2023-10-26 | 第一句集「裂帛」自選


河童は皿の水が涸れると生きていけない
人も晩節が長くなると生きているのは容だけ
魂は離脱して久しい

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踊場のような晩節ひつじ雲 丈子

2023-10-25 | 第一句集「裂帛」自選


晩節は人生の踊り場のようだ
次にステーキを思案するのも良し
ただ惰性に生きるのも己しだいだ

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ゼンマイの伸びきっている生身魂 丈子

2023-10-24 | 第一句集「裂帛」自選


80才を超えれば誰しも生身魂だ
生きるゼンマイも伸びきって
惰性と慣性で動いている

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おむすびは温めない派草紅葉 丈子

2023-10-23 | 第一句集「裂帛」自選


さわやかな風を楽しみながら
一面の草紅葉にくつろいでの
おむすびをほうばるひとときの至福
おむすびはあたためないのが私の流儀だ

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寺領田に小さき地蔵赤のまま 丈子

2023-10-22 | 第一句集「裂帛」自選


奈良斑鳩への吟行旅行での一句
小さなお地蔵さんに赤のままがそなえられてうた
俳友との楽しい3日間だった

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木道に上り下りや草紅葉 丈子

2023-10-21 | 第一句集「裂帛」自選
尾瀬の木道

戦場ヶ原・尾瀬などの木道が好きだ
特に秋口の一面の草紅葉が美しい
行き交う人との挨拶もここちよい

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変わらない君の早口秋日傘 丈子

2023-10-20 | 第一句集「裂帛」自選


高校時代の同窓会の帰途
偶然に女友達と駅まで同道したが
当時は好ましかったあの早口が変わっていないのに気付いた

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小春風手話の母娘のまんまる目  丈子

2023-10-19 | 第一句集「裂帛」自選


紅葉のグラデーションの小春日和
さわやかな風のトロッコ電車
手話の母娘が満面の笑顔がまぶしい

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雁や火宅の父の齢なる 丈子

2023-10-18 | 第一句集「裂帛」自選


生涯家庭を省みなかった父だったが
父の齢に近づくにつれ
その火宅の生き方に共感が涌く

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喰われたる秋の雄蜘蛛恍惚と 丈子

2023-10-17 | 第一句集「裂帛」自選




蜘蛛の交尾は命との交換
雄蜘蛛は交尾の後雌蜘蛛に食われることもあるという





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