竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

やはらかな風にほどかれ蕗の薹

2016-02-29 | 
やはらかな風にほどかれ蕗の薹



春日をあびてやわらかな風にほころんで
蕗の薹がほころんできた
春の味覚だ
毎年同じところに芽をだすのが律儀である

春の夢犬と添ひ寝の浮浪人

2016-02-26 | 
春の夢犬と添ひ寝の浮浪人




ここのところの寒気は真冬のようだ
三寒四温というが寒さの方が勢いがある
駅の近くに初老のホームレスがいる
犬が一緒に暮らしていて
寝ている時はお互いの体温を交換しているようだ
春の夢 犬も浮浪人も見ているのかもしれない

卒業を刻む手練れの肥後守

2016-02-25 | 
卒業を刻む手練れの肥後守



木製の机に椅子
私の学生時代はこれが普通だった
鉛筆は小学校高学年からは自分で削った
「肥後守」を上手に使いこなす同級生は尊敬された
卒業期 机も椅子も傷だらけになるのは黙認の記憶がある

今生を空にあずけて石鹸玉

2016-02-24 | 
今生を空にあずけて石鹸玉



シャボン玉の命ははかなく美しい

シャボン玉をみる瞳はいつも上を向いている

シャボン玉は生まれた時から空にいる

消える時も空のなかだ

いのちの値は時間では測れない

空にうまれ空に死す

空を「クウ」と読んだらもう悟りの境地になるようだ

瞑れば落花の悲鳴亀の鳴く

2016-02-21 | 
瞑れば落花の悲鳴亀の鳴く





春はなにかと賑やかである
草木の息吹に交じって風のさまざまな音
空には雷 海には春の怒涛もある
眼を閉じると
花々がかわるがわる主の座を争うかのように
咲き変わる
そんな悲鳴に交じって亀の鳴き声が聞こえたような

いかり肩みななで肩に山笑ふ

2016-02-20 | 
いかり肩みななで肩に山笑ふ



山の雪もなくなると

厳しかった表情は消えて

山は一斉に芽吹いている

ものの芽といって

植物の芽だけではなく

生けるものすべての芽が萌える時期説である

すべての山は丸もを帯びたなで肩だ

風紋の城郭のごと桜貝

2016-02-19 | 
風紋の城郭のごと桜貝





春の海は眩しく静かだ

ときおりの風は気まぐれで四方八方から吹いてくる

砂はその風に舞いながら見事な風紋をみせてくれたりもする

風が収まると

風紋はとりでのようだったりして

誂えたような桜貝が顔を見せていることもある

蜃気楼そこの確かな探し物

2016-02-18 | 
蜃気楼そこの確かな探し物




富山県に月に何度もでかけることがあった
日本海の幸を堪能したり
蛍烏賊の神秘の様を夜の海で体験もした
立山の雪壁にも触れた
たくさんの温泉も訪ねたが
蜃気楼を長い時間みたことは衝撃に近いものだった
始めてなのに何故か懐かしかったことは忘れない

分校の複式授業蝌蚪の瓶

2016-02-15 | 入選句
分校の複式授業蝌蚪の瓶



昭和47年
長女の入学した小学校は北海道虻田郡洞爺村字大原の
洞爺小学校大原分校
生徒数11人の複式授業だった
理科、図工、音楽、体育などは全学年まとめての授業だった

窓から残雪の遠い山並みをみていて思い出されたのはなぜだろう


入選 2016/3/14 下野新聞 速水峰邨選