白牡丹闇という闇みな余白 2015-06-30 | 入選句 白牡丹闇という闇みな余白 たけし 白い牡丹は花のなかでも特別に感じる 人気のない深夜の花は妖気にあふれる 闇はその花を引き立てるために存在するかのようだ 入選 2015/8/10 下野新聞 速水峰邨選
つぎつぎに風とあらはる舟料理 2015-06-29 | 夏 つぎつぎに風とあらはる舟料理 たけし 俳句のなかで舟料理は江戸情緒ののこる 隅田川や賀茂川あたりがお似合いだが 以前セーヌ川での遊覧船 ベネチュアでの舟遊びが懐、ナイル川の川下りかしい 風といっしょにはこばれる食事はみな美味だった 船頭が唄をサービスするのは世界共通だ
腕までの黒の手袋原爆忌 2015-06-28 | 夏 腕までの黒の手袋原爆忌 たけし 6月23日は沖縄忌だった 70年前のこの日からおよそ1ヶ月半で日本は敗戦 この1ヶ月半は日本中が地獄であった 二度にわたる原爆投下 日本中ところwらばずの空襲 軍人のほかの犠牲者の数も夥しいものだった 原爆投下の日には例年慰霊の式典がある 黒手袋が腕までの婦人 原爆のケロイドを包んでいるのだ
白足袋に足裏をみせず祭笛 2015-06-27 | 夏 白足袋に足裏をみせず祭笛 たけし 先輩の俳句に「足裏」の文字 アシウラと読むとなんとも語呂が悪い上に字余りだった アウラと読むのだと教わった 一度使ってみたかったのだが さて・・・
未草みなもにわたる鐘の音 2015-06-26 | 夏 未草みなもにわたる鐘の音 たけし <鐘の音水面にうけし花睡蓮> 原句 不忍池での実景なのだがどうにもおさまりが悪い 睡蓮の別称に「羊草」があうと知った なんとかおさまった気になっているのだが 俳句はボキャヒンではどうにもならないなー
いつだって唯我独尊蟇 2015-06-25 | 夏 いつだって唯我独尊蟇 たけし 唯我独尊は自由気儘なイメージだが その実は孤独に耐えるという 強靭な精神力を要する 大きな蟇をみているとその偉大さを認めざるを得ない
ともがらの蛍になりてこの一会 2015-06-24 | 夏 ともがらの蛍になりてこの一会 たけし 22~23日と湯西川温泉に1泊銀行会に参加しました 吟行では比較的高得点をいただいていたのですが 今回は不発 掲句が2点獲得で私の句では最高点 ちなもに最高得点句は次のものでした 人を入れ人を隠して夏の霧 9得点で特別選者の特選にもなった 私にはあまりにも平易で面白くはないのだが
一村をつなげてたいら植田水 2015-06-19 | 夏 一村をつなげてたいら植田水 たけし 梅雨に入って田植えの終わった田圃がみずみずしい 蛙の合唱も昔ながらだ 人口が減って村は老人ばかりになってきているが 満々の水をたたえた田圃は去年と変わらない 農村の未来は明るくはないのだが こんな風景をみると安心してしまう
渋団扇戦後すつかりかすみけり 2015-06-18 | 夏 渋団扇戦後すつかりかすみけり たけし 渋団扇 少し前まではどこの家にもひとちふたつはあったものだが しばらく目にしていない あの厚手で丈夫そうな 体裁よりは機能重視の合理敵な生活必需品 戦後の象徴のようだった 昨今の施錠をみれば戦後はすっかりかすんでいて 戦争までも忘れてしまったようにさえ感じる
落ちるまで焦げくさく鳴く蝉である 2015-06-17 | 入選句 落ちるまで焦げくさく鳴く蝉である たけし 俳句に説明は法度とされるのだが 炎天の真昼に鳴く蝉の健気には敬服せざるを得ない 思い果たせず 泣き止んだときは落蝉もある そんな哀れを説明してみた 入選 2015/7/22 産経俳壇 寺井谷子選
遺すもの腑分けのやうに夜の秋 2015-06-16 | 夏 遺すもの腑分けのやうに夜の秋 たけし 身辺の整理はいつ始めるのが良いのか これには正解などあるはずもないのだが しなくてァ舞わないとも言いきれない 残すものと廃棄の処分をするものとの区分けが必要だ 初めて見ると遅々として進まない まるで 腑分けのように・・・・・
はずみしは苦労のはばし心太 2015-06-14 | 夏 はずみしは苦労のはなし心太 たけし ところてん 夏になると賞味する機会が一二度はある 観光地で葭簀に囲まれた店に 氷とならんで暖簾があったりすると見逃せない 先客はだいたいが年配者 はずむ話は戦後の苦労のはなしが似合いそう
危うさの閉じ込めきれず香水瓶 2015-06-13 | 夏 危うさの閉じ込めきれず香水瓶 たけし 香水という言葉には非日常の響きがある 媚薬との怪しさも内包している たくさんの香りには ひとつひとつにそれぞれの物語 危うさはもうじっとしているのに 耐えられそうに無い
指先の幼児かえりや松落葉 2015-06-12 | 春 指先の幼児かえりや松落葉 たけし 常緑樹の松が落葉となる 夏に枯れるという表現がなんとも微妙である 一句をものにしたいと昨年も試みたが失敗であった 手箒の幼女とあそぶ松落葉
事故死かな脛毛にまみれ蚊の骸 2015-06-11 | 夏 事故死かな脛毛にまみれ蚊の骸 たけし 事故死か自殺か 不明の死が日常である 自立という観点では人の子が一番劣っているようだ 誕生して歩き出すには1年もかかる 自分で餌を獲得できるまでには20年もかかる 脛毛のなかにかの死骸 えらいもんだ