竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

方丈の大庇より春の蝶 高野素十

2019-03-24 | 素十鑑賞


方丈の大庇より春の蝶 高野素十

ここのところ毎月鎌倉を訪れる
散策や句会が目的だが
寺社詣では欠かさない

季節のうつろいはそれは顕著で
境内の草木、風や鳥の気配もその趣を変化させる

掲句の蝶に遭遇する眼福を心待ちにして歩いてみた (小林たけし)

大きな方丈の大屋根から舞い降りた一匹の蝶
蝶は春の季語だが作者はこの蝶こそが春そのものだと言っている


蝶】 ちょう(テフ)
◇「蝶々」 ◇「白蝶」 ◇「黄蝶」 ◇「しじみ蝶」 ◇「大紫」 ◇「小紫」 ◇「胡蝶」(こちょう) ◇「紋白蝶」 ◇「紋黄蝶」 ◇「山蝶」
いかにも春をおもわせる昆虫である。幼虫は毛虫・青虫の類で、草木を食べて成長し、蛹を経て成虫となる。一般に繭は作らない。種類が多く、日本だけで約250種を数える。昆虫界で最も美しい。蛾と違って昼間飛びあるき、止まるときは多く羽をたたむ。ぜんまいのような口をのばして花の蜜を吸う。胡蝶。かわらびこ。

例句 作者
蝶がくる阿修羅合掌の他の掌に 橋本多佳子
てふてふのひろげてゆきし水の音 奥名春江
失せものにこだはり過ぎぬ蝶の昼 星野立子
蝶を見に船の行交ふところまで 榎本好宏
蝶になほ蝶の黄昏ありにけり 相生垣瓜人
あをあをと空を残して蝶分れ 大野林火
一睡のてふてふとなり遠くまで 大井戸 辿
てふてふや遊びをせむとて吾が生れぬ 大石悦子
蝶去りて磧にのこる石の数 遠藤若狭男
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引つぱれる糸まつすぐや甲虫 素十

2017-07-23 | 素十鑑賞
引つぱれる糸まつすぐや甲虫



季語:甲虫ー夏  出典:初鴉  年代:昭和13年(1938年:45才位)

子供に捕えられ、糸をつけられた甲虫が逃げようとしている姿。

流伴鑑賞

捕らえた甲虫に紐をつけた記憶が蘇る
戦わせた幼少期も懐かしい

なんとも素朴でそのままの写実
現代では少し物足りない感もある
俳句がさまざまな句億面に
変化してきたことが良く分かる


高野 素十(たかの すじゅう、1893年3月3日 - 1976年10月4日)は、茨城県出身の俳人、医師(医学博士)。
高浜虚子に師事。虚子の唱えた「客観写生」を忠実に実践、
簡潔で即物的な写生句で頭角を現し、山口誓子、阿波野青畝、水原秋桜子とともに「ホトトギスの四S」と称された。
「芹」主宰。本名は高野与巳(よしみ)。
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