竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

結界の門のにぎわい花散華  たけし

2018-03-31 | 
結界の門のにぎわい花散華




桜の散り際は哀しくも潔い
花散らしの風や雨もまた悪くない
花吹雪きに目をほそめながらの花の賑わい
いずれは潜る結界の門
ひと時の生者のかりそめの姿に他ならない

初案 2017/3/30 
結界の門かもしれず花散華

句意は同意だが「かもしれぬ」を改めた


yb5cja

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声高く法被そろえて花支度 たけし

2018-03-30 | 
声高く法被そろえて花支度




桜が満開でこの週末は大変なにぎわいだろう
桜の名所では花見客のための用意が
1ヶ月以上前から街の有志でで行われる
地方によっては揃いの法被で鉢巻き姿
江戸のいなせな若い衆のいで立ち

通行の道路を整備するのはもちろん
出店の割り振り
ぼんぼりを吊るしたり
その声のやりとりは
高いところからの大きな声だ


初案 2017/3/30
ぼんぼりを法被揃へて花支度
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一日ぶん生き抜くきまり蝌蚪の国 たけし

2018-03-28 | 
一日ぶん生き抜くきまり蝌蚪の国




おたまじゃくしの成長はなんとも早い
一日が人の何年分なのだろう
忙しく体を動かさないと
手足の生える場所を間違える
蝌蚪の国の住人は一日分をしっかりと生きねばならない
いずれ訪れる大変身に備えているのだ


初案 2017/3/30
一日ぶん生き抜くきまり蝌蚪忙し

蝌蚪の国 この季語を発見した
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石畑に町の子里の子遠霞 たけし

2018-03-27 | 
石畑に町の子里の子遠霞




近くの茂木町に石畑という地名の農村がある
棚田百選に選ばれている
過疎対策で棚田のオーナー制度を採用していて
田植えや収穫時にそのオーナーが手伝いに来ている
子供たちも親しくなって駆けまわっていて楽しそうだ

初案 2017/3/26
石畑に善男善女の遠霞

善男善女を街の子里の子にした
石畑が固有名詞なので分かりにくい
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大猫のねぶる城跡夕ざくら たけし

2018-03-26 | 
大猫のねぶる城跡夕ざくら





桜前線が日本列島を北上している
桜は城に良く似合う
全国の城址公園には桜の銘木が多い
城には必ず怪談が伝わっている
化け猫の伝説は定番だ
夕まぐれ 満開の桜の根元に大きな猫が眠っていたりすると
そんな伝記を思い出したりする



発表 2017/3/24

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口八丁手八丁ネイルアートの苺狩 たけし

2018-03-25 | 
口八丁手八丁ネイルアートの苺狩




栃木県は苺生産が全国1位だそうだ
近郊には大きな苺農家が散在する
苺狩の観光バスも多い

観光客に混じって苺狩を楽しんだ
若い女性の一団
苺を頬張りながらの大声でのお喋り
休まずに見事な手さばきで苺を摘む指先は
装飾を施したネイルアートだったのには唖然

初案 2017/3/16
口も手も老いの女子力いちご狩

初案を実景に即したものにした
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げんげ野のタイムマシーン乗りに行く たけし

2018-03-24 | 
げんげ野のタイムマシーン乗りに行く





幼少期にはげんげ野を走り回っていた
故郷の横浜は現住地の栃木県よりはずっと都会なのだが
昔は横浜にもげんげ野があり
池にはオタマジャクシがいたものだ

近くの河原にはれんげの広場がある
そこではいつも
故里、幼少期がよもがえる


初案 217/3/23

【げんげ田】 げんげだ
◇「げげ田」 ◇「げんげんの田」
げんげの咲ひろがっている田。げんげ田を花田という地方もある。
例句 作者
亡き母が座せしは夢かげんげん田も 小川公子
げんげ野を突つ切る道やそこをゆく 岩井英雅
頭悪き日やげんげ田に牛暴れ 西東三鬼
げんげ田の空にとどきし夕汽笛 岡田日郎
おほらかに山臥す紫雲英田の牛も 石田波郷
げんげ田に鉄の性器のけぶりをり 小川双々子
げんげ田へ膝より降りる菩薩あり 摂津よしこ
げんげ田が見え泣き声のありにけり 鈴木五鈴
げんげ田や鋤くあとよりの浸り水 臼田亜浪
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佐保姫の脛のあらわに駆け寄り来  たけし

2018-03-22 | 
佐保姫の脛のあらわに駆け寄り来




県境の川堤をやわらかな風と歩く
遠見に小さな集落
落人の住み着いたとの話もある

飼い犬を連れての散歩もあった
娘や孫たちが小さな頃に遊んだ菜の花畑も近い

佐保姫という雅な響きには遠いいが
その子らのはしゃいだ声
足音、まぶしい瞳が蘇る




【佐保姫】 さおひめ(サホ・・)
春の造化をつかさどる女神。秋の竜田姫に対する言葉である。佐保山は平城京の東に当り、方角を四季に配すれば東は春に当るからいった。
例句 作者
佐保姫のもうためらはぬ歩みかな 国保泰子
約束もなく佐保姫に逢ひにゆく 今井杏太郎
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勘ぐりの癖ぜんまいのクエスチョン

2018-03-21 | 
勘ぐりの癖ぜんまいのクエスチョン




薇のあのクエスチョンマーゥの形がなんとも可愛い
鼻水を袖で拭っていた幼少時
裏山にはたくさんの野草があって
採ったものだった

珍しいものを見つけては妣に
これ何 これは何と
目をキラキラさせていたことを憶えている


原句発表 2017/3/16
薇や疑り癖の未然形
句意は同意
語順と措辞を推敲
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杖上ぐるリハビリの朋桜東風 たけし

2018-03-20 | 

杖上ぐるリハビリの朋桜東風



リハビリ中の朋友がいる
杖をついての歩行訓練が辛いと云っていたが
散歩をしている彼に遭遇
私の前方で杖を上げて合図をおくってきた
リハビリの成果を誇らしげに語る彼
桜も近い
近桜も々吟行しようと約束した



原句発表 2017/3/10
杖上ぐるリハビリの朋桜東風

状況設定を具体的にした
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咲き満ちる梅の進めん杖の試歩 たけし

2018-03-19 | 

咲き満ちる梅の進めん試歩




梅が満開だがもう桜も秒読みである
近くに梅まつりの公園がある

観梅の上品な面持ちの夫人が杖をついている
心なし杖の所作がおぼつかない
それでもゆっくりとゆっくりと歩を進めている
梅がやさしく誘っているようだ


原句発表 2017/3/10
咲き満ちる梅の進める試歩の数

「梅の進めん」「杖の試歩」を推敲
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霾ぐもり後期高齢者通知来 たけし

2018-03-18 | 
霾ぐもり後期高齢者通知来






古希をこえて5年
喜寿まであと2年となった
家族からも大切にされて
余生はなかなか居心地が良い

そんなところへ役場から通知
後期高齢者用の健康保険証である

たきさんの注意事項が懇切丁寧に
大きな文字で書かれている

生きているのが申し訳ないような
腹立つこの気分はどうにも晴れない



原句発表 2017/3/10
霾ぐもりばっさり後期高齢者

句意は同意だが
季語に全てを代弁させた
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雪の陽あたり先触れのつくしんぼ たけし

2018-03-16 | 
雪の陽あたり先触れのつくしんぼ




名残の雪のなかから
土筆がその頭を出している
春の先触れを請け負うように
陽ざしはやはり春のやわらかさだ



原句発表 2017/3/10
さきがけのいがぐり頭つくしんぼ

いがぐりあたま」は平易すぎた
改作句は句またがりの
「陽あたり」」は陽当たりと「辺り」をねらってみたが

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つばくろに動体視力嘲らる たけし

2018-03-15 | 
つばくろに動体視力嘲らる




子供時代はあまりにもはるかになるが
素早い太刀捌きを「燕返し」といって
チャンバラ遊びをしたものだ
佐々木小次郎の物干竿と呼ばれた長い剣がそれだ

目にも止まらぬ速さが燕の飛行飛行だった

燕が飛ぶ
今の私の動体視力はほとんどその姿を追えることは無理になった




発表 2017/3/10


【燕】 つばめ


◇「つばくろ」 ◇「つばくら」 ◇「つばくらめ」 ◇「乙鳥」(つばめ) ◇「玄鳥」(つばめ) ◇「燕来る」 ◇「初燕」 ◇「飛燕」(ひえん) ◇「朝燕」 ◇「夕燕」
ツバメ科の鳥。いわゆる燕尾状の2つに割れた長い尾が特徴的である。飛行が早く、飛びながら口を大きく深く開けて、昆虫類を食べる。日本には春飛来し、人家に営巣して、秋、南方に去る。玄鳥。つばくら。つばくらめ。初燕。
例句 作者
夢殿に今年の燕来てゐたり 米澤吾亦紅
燕来て新しき泥落としけり 佐藤くにを
燕のゆるく飛び居る何の意ぞ 高浜虚子
遠い橋の明るさ燕来りけり 田中太朗
山の端に乙鳥をかへす入日かな 其角
つばくろの反転信濃は青き国 木田千女
藍壺に泥落したる燕哉 正岡子規
浮御堂浮いて燕を通しけり 石田勝彦
つばめ来てまた駅頭が眠くなる 中村菊一郎
燕の飛びとゞまりし白さかな 松本たかし
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すぐ萎む悔しいときの紙風船 たけし

2018-03-14 | 
すぐ萎む悔しいときの紙風船




孫と紙風船で遊んだのは
15年も前になる
なかなか膨らませられないのを
そっと隠れて手伝ったり

それでも精一杯に頬をふくらませて
なんとか丸い形にして得顔の幼顔

すぐに萎むのを
悔しがるのがまた可愛い


発表 2017/3/10


◇「紙風船」 ◇「風船玉」 ◇「ゴム風船」 ◇「風船売」
紙風船に息を吹き込み、手で突いて遊ぶ。またはゴム風船の中へ水素ガスを入れて、空中へ飛ばしたりする。日射の明るい春先にふさわしい玩具である。
例句 作者
風船が割れて顔出す風船屋 松谷誠人
風船やあこがれに紐ついてをり 辻 直美
紙風船息吹き入れてかへしやる 西村和子
置きどころなくて風船持ち歩く 中村苑子
川越えて風船雲にしたがへり 石原舟月
紙風船空あることを愉しくす 河野南畦
紙風船痛き音たて突かれけり 福井隆子
風船のはやりかしぎて逃げて行く 鈴木花蓑
日曜といふさみしさの紙風船 岡本 眸

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