竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

春耕の田や少年も個の數に 飯田龍太

2021-02-14 | 句集鑑賞


春耕の田や少年も個の數に 飯田龍太

少年もというのだから田には家族だと解る
田起こしの景だろう
みな黙々と自分の手元足元をみての作業である
少年もしっかりと一人前だ
(小林たけし)


【耕】 たがやし
◇「耕」 ◇「耕す」 ◇「春耕」(しゅんこう) ◇「耕人」 ◇「耕牛」(こうぎゅう) ◇「耕馬」(こうば) ◇「耕耘機」
田返すの意。冬の間手入れをしない田や畑の土を起こして、植え付けの準備をする。かって、春の野良には、営々として鋤鍬をふる人や、牛や馬にすきをひかせて、着々と土を鋤起こして行く真剣な姿が見えたが、今では機械化され大分様子が違ってきた。

例句 作者

耕やせば土のぬくみの戦友くる 奥山甲子男
気の遠くなるまで生きて耕して 永田耕一郎
耕人に余呉の汀の照り昃り 長谷川久々子
耕していちにち遠き父祖の墓 黛 執
春耕や熊野の神を住まはせて 鈴木太郎
遠目には耕しの鍬遅きかな 福永鳴風
耕してふるさとを捨てぬ一俳徒 大木さつき
耕牛やどこかかならず日本海 加藤楸邨
耕して天にのぼるか対州馬 角川源義
春耕の振り向けば父き消ゆるかな 小澤克己
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服薬の水持ち歩く花ぐもり たけし

2021-02-13 | 句集鑑賞



服薬の水持ち歩く花ぐもり たけし

2017年4月1日 読売俳壇にて
宇多喜代子清子先生の選をいただきました

全国紙の入選はなかなか難関で
もう4年m前のことですが
わが目を疑うほどの頼子美でした

句材も句意も素直で
初心の頃の作だと納得できます
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『再来年の約束』田中雅秀第一句集

2021-02-12 | 句集鑑賞



『再来年の約束』田中雅秀第一句集



連句から俳句へと活動の場をする著者の第一句集。



東京から会津に移住一五年、季語の実景を享受する豊かな日常を「あとがき」に語っている。

「花冷え」「幸いあれ」「新しい感動」の三章の名は敬愛する金子兜太師から贈られた色紙二枚と、大切にするようにと言われた師の言葉からのものだという。



「海原」 新潟支部代表北村美都子氏の 跋より

「ほうほたる弱い私を覚えてて」雅秀(まさほ)俳句の表現は一貫して口語体である。軽やかに口語を駆使し、現代に生きる女性の哀歓を呟くように語りかけるように書き留める。

 

自選より



桐の花本音はいつまでも言えず
タイミングが合わない回転ドアと夏
夏野かな何もしないという理想
ファルセットここからはもう雪の域
乗り継いでナウマン象に会う春野
初蝶にもうなっている遺稿かな
海亀は岸に寄りけり赤児泣く
麦の秋青いザリガニ胸に飼い
紅葉かつ散る乾電池切れるまで
白鳥の声する真夜のココアかな



昭和三八年東京生まれ、平成一二年より連句に親しみ、平成一五年「海程」会員、平成一七年「青山俳句工場」参加、平成一八年福島県文学賞奨励賞受賞、平成二〇年福島県文学賞準賞受賞、平成二〇年「海程」同人、

「海程」「青山俳句工場」同人

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