石田波郷の春の句10句を鑑賞(3)
がうがうと欅芽ぶけり風の中
欅(けやき)の大木が、あちらこちらで芽吹き始めている。大木になるために、小さな家の庭は勿論、小さな公園でも、又街路樹としても余り歓迎されない。「困」るという字には、元々、屋敷「□」の「木」が大きくなって「困」るという意味があるようである。狭い土地を更に分割して庇を寄せあって暮らしている人間を尻目に超然と、欅は、今年も、風を相手に蘇ってきている。(板津森秋)
松籟の武蔵ぶりかな実朝忌
日洩れ来し谷を急ぎて実朝忌
古葎美しかりし春の泥
冴返るわれらが上や二仏
多羅の芽の十や二十や何峠
飯盒の飯のつめたき霞かな
負へるものみな磐石や夕霞
放鳩やうすうす帰る雁の列
三月の鳩や栗羽を先づ翔ばす
がうがうと欅芽ぶけり風の中
欅(けやき)の大木が、あちらこちらで芽吹き始めている。大木になるために、小さな家の庭は勿論、小さな公園でも、又街路樹としても余り歓迎されない。「困」るという字には、元々、屋敷「□」の「木」が大きくなって「困」るという意味があるようである。狭い土地を更に分割して庇を寄せあって暮らしている人間を尻目に超然と、欅は、今年も、風を相手に蘇ってきている。(板津森秋)
松籟の武蔵ぶりかな実朝忌
日洩れ来し谷を急ぎて実朝忌
古葎美しかりし春の泥
冴返るわれらが上や二仏
多羅の芽の十や二十や何峠
飯盒の飯のつめたき霞かな
負へるものみな磐石や夕霞
放鳩やうすうす帰る雁の列
三月の鳩や栗羽を先づ翔ばす