竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

人海の波打つ花の無人駅

2016-03-13 | 入選句
人海の波打つ花の無人駅




人かげのない無人駅
花の季節になるとその姿は一変する
カメラを抱えた報道関係者
毎年訪れるご夫婦
若いカップルや家族連れ
人の波は海のようだ
その賑わいもほんの2習慣というのがよろしい

さて今年gはどこらへんへとの思案中である


入選 2015/5/19 朝日新聞 栃木俳壇 石倉夏生選

紙魚の痕ガリ版刷りの初詩集

2016-03-11 | 
紙魚の痕ガリ版刷りの初詩集





わら半紙にガリ版刷の詩集を作ったのは55年も前だった

紛失したのだが当時のの仲間が1冊余分にあると言って送ってくれた

紙魚だらけの「逃げた顔」

やんちゃな青春の入り口だった

風紋の語るに飽かず夏隣り

2016-03-09 | 入選句
風紋の語るに飽かず夏隣り



春風はたくさんの呼び名があってそれぞれに味わいがある
東風だけでも正東風、強東風、桜東風、朝東風、夕東風
砂浜に風紋ができるのを眺めていると時を忘れる
そろそろ夏が近づいているしるしだ


入選 2下野新聞 速水峰邨選

妖しきは真直に真白独活の列

2016-03-08 | 入選句
妖しきは真直に真白独活の列




独活の栽培をしている室に入る機会があった
真っ暗な部屋の天井から真白な独活が
真直ぐに行儀よく並んでいる
なにか現実のものとは思えない
妖しい陽気さえ感じられた
独活は好物だが食するとき
必ずこの景を思い出す


入選 2015/5/30 角川俳句27-6 出口善子秀逸選

自分史の戦前戦後春燈下

2016-03-07 | 入選句
自分史の戦前戦後春燈下





昭和18年生なので戦前よりは戦中なのだが
新聞記事を検索したりして10年ほど前から自分史を書いている
小中学校時代はまさに戦後が投影されている
添削や追記をしたりしてつい夜更かしになる


2015/5/26 朝日新聞 栃木俳壇 石倉夏生選

菜の花の道に惑ひて一万歩

2016-03-06 | 入選句
菜の花の道に惑ひて一万歩



啓蟄もすぎると春のスピードは速い
菜の花桜と季節の移ろうは遠慮なく通り過ぎる
60代を過ぎるころから一日が短い
一年が速い 10年も昨日のようだ

菜の花が道の両側にたくさん咲いている
一万歩は漫歩で疲れることもない


入選 2015/5/11 下野新聞 中田亮選

筍を掘るや地球のどまんなか

2016-03-05 | 入選句
筍を掘るや地球のどまんなか





最近はご近所さんから筍をいただかない
以前は何軒ものご近所さんが
「今採ってきたよ」と泥のままの筍を頂いたものだった
ご近所さんの爺婆が減っているのだ
私も
足を踏ん張って大きな掛け声をかけて
地球と見会っておたものだったこともあったが
今はスーパーで綺麗に洗ってあるものを
家内と二人分だけ求めている


入選 2015/5/25 毎日俳壇 鷹羽狩行選

心にもボソと一輪落椿

2016-03-04 | 入選句
心にもボソと一輪落椿




椿は大輪のまま落ちる
花弁を散らさないで花の姿で地上で咲いている
大島で椿の大木の落ち椿の見事な赤を見たことがあった

掲句は3年前のものだが
心にボソッとはさてなんだったか


入選 2015/4/21 朝日新聞 栃木俳壇 石倉夏生選 

廃校にまあるい時計鳥曇り

2016-03-03 | 
廃校にまあるい時計鳥曇り



少子化ニッポン
叫ばれてから年月は経過しているが対策は全くない
学校がどんどん減少している
廃校の報道は珍しくもなくなった
梁の止まった校舎の丸い大きな時計
みあげると鳥の集団
こちらは何も変わらぬように見受けられた

亀鳴くや欠伸こらえる阿吽像

2016-03-01 | 
亀鳴くや欠伸こらえる阿吽像




30年前に横浜から墓を移した
自宅から1000mほどの距離なので墓参も容易にできる
お寺さん住職が変わったり改築したりで栄えている
城跡の寺のせいか山門もあって「阿吽像」も睨みをきかせている

この季節 欠伸をこらえているように見えるのは
亀の鳴く声を聞いたと同じまぼろしか