口舌無用秋鯖に舌鼓 丈子

2024年　秋

秋鯖の美味は口説無用

説明も講釈も邪魔　だまって食わせてくれ

さやけしや深呼吸して四股を踏む 丈子

2024年　秋

朝の爽やか涼気に

深呼吸して四股を踏んでいた

ひとりずつ違う哀しみ彼岸花 丈子

2024年　秋

秋彼岸の墓参

たくさんの墓　たくさんの人

それぉれにそれぞれの哀しみ

三千世界累々と新松子 丈子

2024年　秋

三千世界は仮の世の現世だけでない

新松子は累々と命をつなぐ証

ノーイエス声なき応え秋団扇 丈子

2024年　秋

二人居の無為の時間

どうでもよい会話の応えは

秋団扇の動きで足りる

真っ直ぐに荼毘の白煙秋黴雨 丈子

2024年　秋

荼毘をまついっとき

秋雨の空に真直のけむり

だれもが無言

燦然と十方に日矢今朝の秋 丈子

2024年　秋

今朝の秋は立秋

朝日が今朝はなんとも爽やか

幼子の指にまあるい天の川 丈子

2024年　秋

孫娘と指を丸めてみる天の川

八十路の至福

百日忌花手水には秋の花 丈子

2024年　秋

もう百日忌とは

墓参の手水鉢にたくさんの菊の花

停まっていた時の流れを気づかされた

秋暑しパンクのままの散水車 丈子

2024年

秋

道端に放置でぃたままの散水車

暦日は秋とはいえまだまだ暑い

殉教の島ゴッホの星月夜 丈子

2024年　秋

殉教の悲劇の天草に

血と涙の生んだ星月夜の深閑

盂蘭盆会袈裟に赤ヘルの尼法師 丈子

2024年　秋

菩提寺の住職が娘さんに代替わりした

颯爽とオートバイでやってきたが

有難味が軽い

常在戦場虎の尾の鬼やんま 丈子

2024年　秋

総選挙も近い

常在戦場の国会議員だが

見せかけだけの大言壮語

倖せは己が足下（あしもと）草の花 丈子

2024年　秋
倖せは誰もが願うが
実は自分のすぐ足下にあるのを気づかないのだ
高望みして失うこともある

てんでの個性軒下の唐辛子 丈子

2024年　秋
軒下に吊るされる唐辛子
同じ容はひとつもない