ケンのブログ

日々の雑感や日記

夏は来ぬ

2022年05月03日 | 日記歌入り
道を自動車で走っていたら、一部の水田で田植えが終わっていた。

大阪で僕が住んでいた地域は5月の下旬ころに田植えになるケースが多かったので、こちらの方が早いなと思う。

それで 心に浮かんだ歌が 唱歌「夏は来ぬ」。

歌詞にこんな一節がある。

“”さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ“”

さみだれ は五月雨と書く。

調べると 五月の雨と言っても旧暦の五月の雨 
つまりは梅雨時の雨であるらしい。

しかし、新暦の五月でも もう田植えもあったし、
気分は五月雨の季節かと思ってしまう。

“”早乙女が裳裾ぬらして
玉苗植うる 夏は来ぬ“”

要するに若い女性が着物の裾を濡らして
田植えをする夏が来たということだろう。

早乙女 玉苗 と名詞をつかい なんと美しい詞であること。

こういう詞の情景を心にとどめておくことは大切なことと思う。

さみだれのそそぐ山田 と歌詞にあるけれど、
岐阜県の水田は山間の水田なので、まさに“”山田“”。
本当に「夏は来ぬ」に歌われた情景そのものだなと思う。

大阪で歌声教室に行っていた時、伴奏の先生が
夏は来ぬ のメロディーを主題にして、即興曲のようなものを
演奏してくださって、終わった後で 「夏は来ぬ」 は唱歌の中で
最も好きなもののひとつ とおっしゃっていたことを思い出す。

お店では菖蒲を買い求める人も何人かいた。

冬至にゆず湯に入ることはあっても、五月に菖蒲湯に入った経験は
ないなと思う。

菖蒲湯以外にもいろいろ使い道はあるらしいけれど。

柏餅のコーナーにポップが出ていて
端午の節句に柏餅を食べる理由として
 
「柏の葉は 新しい目が出ない限り落ちることはない。
なので、それにあやかって 子孫繁栄を願い端午の節句に柏餅を食べる」
という主旨のことが書いてあった。

なるほどそうかと思った。

あやめ しょうぶ かきつばた は似た種類の植物だ。

かきつばた と思ったとき。

伊勢物語の かきつばたの 折句を思い出した。

こんな句だ。

からころも 
きつつなれにし
つましあれば
はるばる来ぬる
たびをしぞ思う
 
この句の現代語訳は マナペディア高校古文のサイトで以下のようになっている。

“”(何度も着て身になじんだ)唐衣のように、
(長年なれ親しんだ)妻が(都に)いるので、
(その妻を残したまま)はるばる来てしまった旅(のわびしさ)を、
しみじみと思うことです。“”と。+

都から東に向かう途中 三河の国で伊勢物語の登場人物によって
詠まれた句だ。

(か)らころも 
(き)つつなれにし
(つ)ましあれば
(は)るばる来ぬる
(た)びをしぞ思う

というように 各句の頭文字をつなげると かきつばた になる
という折句の技法を用いた句だ。

旅先から妻を思うという 美しい心情の歌だと思う。

これも かきつばた を見ながら詠まれた句なので
季節は今頃の歌だと思う。

本当に美しいなと思う。

↓唱歌「夏は来ぬ」をカラオケJOYSOUNDの音源で歌いICレコーダーで録音しました。