愛知県芸術劇場に名古屋フィルハーモニー交響楽団第502回定期演奏会を聴きに行く。
最初に演奏されたのは
バルトーク 2台のピアノと打楽器のための協奏曲 BB121
指揮アントニ ヴィットさん
ピアノ小菅優さん 居福健太郎さん
打楽器 窪田健志さん ジョエル ビードリッキーさん
たぶんCD 生演奏を通じて初めて聴く曲なのであーっと思っているうちに終わってしまった。
壮絶な曲だなと思う場面もあったし ピアノの和声が クリスタルのような独特のきらめきだなと思う場面があった。
その和声のきらめきは 僕にとって、聴いたことがありそうで ない種類のものだなと思った。
窪田健志さんのティンパニーを見ていると 手首の返り方がしなやかで なんとなくかっこいいなと思った。
小菅優さんが曲の要所 要所で 目配せをしていたけれど 小菅さんのほぼ真後ろから見る形だったので どこに目配せをしているのかよくわからない。
どこや?と思っているうちに終わってしまった。
けれど たぶん 居福健太郎さんに目配せしていたのかなと思う。
小菅優さんと居福健太郎さんのピアノが相当すばらしいことは聴いていてわかった。
演奏が終わった後で僕の周りにいた高校生の子たちが一斉にスタンディングオベーションをしていた。
こういうとき「君たち どこの高校なの?」と気軽に聞くことができる性格だったらその場で情報をつかめるのに と思うのだけれど、若いころから そういうのが苦手だから、できなかった。
関西にいる頃だったら 予備校に勤めていた関係で 制服をみればある程度はわかるということがあったけれど 名古屋ではそれもわからないし、、、。
家に帰ってきて プログラムを見ると 打楽器の窪田健志さんが名古屋の高校で講師をしておられると書いてあったので まあ その高校の子たちかなと想像した。
20分の休憩をはさんで次に演奏されたのが
ブルックナーの交響曲第6番イ長調
第一楽章
最初に たぶんバイオリンが いわゆるブルックナーリズムを奏でるところから曲が始まる。
そのブルックナーリズムの刻み方が 明るく鮮やかで ああ、なんだかいい感じ と思った。
この曲はいわゆるブルックナー休止で 音楽が ブワーっと停止することがないから その意味で先に進む推進力が強い。
その中で出てくる 金管の響きは ちょっと壮観だなと思う (響きに壮観という言葉を使うのはありなのか 眺めでもないのに。 まあ 比喩的にということだけれど)
あと冒頭のブルックナーリズムの刻み方から始まって 演奏中 バイオリン ビオラの 音はずっと美しかったと思う。
弦楽器の高音域が美しいのが交響曲6番の特質のひとつなのだなということがよくわかり たいへんためになった。
第二楽章
弦楽器が醸しだす柔らかい雰囲気がとても美しいなと思った。
ホルンとか木管とかが軽くからんでいるけれど 実質的には弦楽合奏かと思うような場面がいくつかあった。
生演奏だと視覚をともなうから そういうのがよくわかってありがたいと思う。
第三楽章
冒頭で指揮者がチェロとコントラバスの方に向いて動作を始めたので 見ると そこから
ダ ダ ダ ダ という響きが聴こえてくる。
重々しいというよりは 力強く明快な感じで 第一楽章の バイオリンによるブルックナーリズムと同じくらい印象に残った。
金管の音が 第一楽章はどちらかというと ブワー という感じが多いのに対して こちらの楽章では キラキラ 輝いて聴こえる場面が多かった。
金管のきらめき というのもブルックナーの特質のひとつなのだなと改めて思い入った。
バイオリン ビオラのピチカートも音がくっきりと立っていて美しかった。
楽章の最後の音が終わって 残響が完全になり終わらないうちに 弦楽器の譜面台あたりからカサカサ という音が聴こえてきたような気がした。
その時 ステージから視線をはずしていたので よくわからないけれど 残響があるうちに次の楽章にそなえて 譜面をめくった可能性がたかいと思った。
どうでもいいことかもしれないけれど、客席ではなく ステージから 残響のあるうちに そのような音が聴こえてきたことは ちょっと意外な盲点かもしれないと思った。
客席のほうが きっとステージより残響が長く聴こえるような気がするから これは ちょっとした時間差の問題かもしれない。
第四楽章
弦楽器に導かれて金管楽器が堂々とした旋律を奏でていくところでは これは 勝利の音楽かと思った。
前半に聴いたバルトークでも最終楽章で これは勝利の響きかと思うような場面があったので コロナということもあって そういう表現をしたのかと思った。
ちょっと思いすぎかもしれないけれど。
第四楽章は比較的 うわーっと思っているうちに終わってしまった。
演奏があっけなかったという意味ではなく いろいろ思っているうちにおわってしまったという意味だけれど。
全体を聴いて かなり素晴らしい演奏だと思った。
いやあ よかった。
ブルックナーの音楽には祈りの要素もたくさんあるので こういう時期に聴けてよかったなと思う。
今日もコンサートが終わって名古屋駅まで歩く。
何日か前に 名古屋 栄の ドン・キホーテの横あたりは ドン横と言って大阪のグリコの下=グリ下などと並んで 帰る場所のない子がたむろすることが多いと書いてあった。
そんなものかと思って そこを通ると 大阪でいろんな場所を通ったことのある僕にとっては別にどおってことない場所のように思える。
ドンキの店員の方は 外国語のなまりの方だったけれど。
餃子でもたべるかと思って 餃子の王将を探したけれど僕の通り道には見当たらなかった。
しかし、名古屋ローカルとおぼしき餃子のチェーン店がいくつかある。
王将にくらべて そとからみると なんだか ちょっとどっぶりした感じで 今はまだ入りづらいなと思う。
そのうち名古屋の雰囲気に慣れたら入れるかもしれないとけれど。
餃子とは違う飲食店の看板に 「夏季限定 おつゆのないカレーうどん」と書いてあった。
要するにカレーライスと同じで うどんにほぼ直接カレーのルーをかける感じなのだと思う。
しかし おつゆのないカレーうどん って名古屋の表現かなと思った。
駅まで歩いて約35分。
ちょっと歩きなれたかなと思う。
一日いちにち無事に過ごせますように。