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蝶のゆくへ

2021-11-05 19:44:17 | 読書

 

 

葉室麟著

「蝶のゆくへ」

 

葉室さんは2017年12月に亡くなりました

この本は翌年の2018年8月に出ています

 

私が今まで読んだ葉室さんの本とは雰囲気が違っていました

 

中島みゆきの「糸」っていう歌があります

 

♪縦の糸はあなた

横の糸は私

 

 

 

この本は縦の糸が主人公星りょう

後の相場黒光

新宿中村屋の創業者

 

ここまで書くと、商売の話しかと言うとそうではない

 

アンビシャスガールと言われるほどに

大志を持ち、何者にも何物にも惑うことなく真っ直ぐに人生を歩もうとするりょう

 

そして横の糸は

そのりょうが出会う文人達です

 

りょうは最初はフェリス和英女学校に入学するも

明治女学校こそ自分が学ぶところと学校を移ります

 

そこで最初に遭遇するのが斎藤冬子と北村透谷の恋仲

冬子の療養中透谷は自殺します

その透谷の残した詩に

「蝶のゆくへ」というのがありこれが表題に

 

舞ふてゆくへを問うたもふ、

心のほどぞうれしけれ、

秋の野面をそこはかと、

尋ねて迷ふ蝶が身を。

 

透谷の次に出会うのが島崎藤村

りょうの学校の英語の教師

藤村は教え子輔子に恋をします

 

まだあげ初めし前髪の・・・

ですよ

 

そして次は国木田独歩、有島武郎

 

勝海舟の三男梅太郎の嫁クララ

 

樋口一葉

 

と、まあ出てくる出てくる

そしてどの話も興味深く読ませてくれます

 

明治という時代

 

恋愛に身を焦がす文人たち

凄いエネルギーです

このエネルギーがあるがゆえに名作品が生まれたんでしょうね

 

女性たちの自己主張もどんどんと勢いづいてきたこの時代

 

先日読んだ「白光」にも似た力を感じました

 

 

純文学がお好きな方、一読あれ

コメント
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