深夜、一台のピックアップトラックがライトを消し星の方向だけを頼りに枯れ果てた草原の中を走っていた。荷台にはロケットランチャーが何本か積んであり、マシンガンを支え腰を下ろしている4人の屈強な男が息をひそめていた。彼らは指導者と名乗る男からトラックが到着した所でロケットランチャーを使用し敵の足止を図るのだと聞いただけで他には何も知らされていなかったため、男達には敵が強ければ我々は一瞬にしてこの世から消えてしまうのだという不安が拭い去ることができなかった。
男達の不安を知ってかリーダーの男が沈黙を破るように「我々には神がついている。この聖戦はきっと成功をもたらす」と言うと、残りの男達も「我々の神は偉大だ。この命尽きたとしても神の下へ行けるのだ!」と言って士気を高めた。しかし、一人の男は心の中で「この戦いを早く終わらせ故郷に帰りたい。家族や恋人と争いのない国で静かに暮らしたい」と願っていた。無論そのようなことを口に出してしまうとどんな処罰が待っているかわからない。男は黙って恋人の姿を想い出していた。
トラックが止まると男たちは某国製の暗視カメラを装着し荷台から降りるとロケットランチャーを担いで砂の丘をゆっくり登って行った。頂上に近づくとリーダーの男が身を伏せろと指で指示を出し、残りの男たちはほふく前進で頂上を目指した。
小高い丘から平原を見下ろすと戦車数台と軍用のトラック、そしてマシンガンを搭載したクルーザーが最前線を目指して移動しているのが見え距離はロケットランチャーの射程距離内であることがわかった。リーダーの男が「見えるか。あれが目標だ」と言った。それを聞くと残りの男たちは一斉にロケットランチャーを構え照準を戦車やクルーザーに合わせた。スコープの中にはクルーザーの上で夜警にあたっている兵士の姿が見えたがこちらには気づいていない様子だった。すると一人の男が「あれは本当に敵なのか? 見たこともない国旗だぞ」と言うと、リーダーの男が「あれは極東の国から来た者たちだ。しかし強国の同盟であるから戦線に加わる前に叩いておくのが俺たちの使命だ」と言った。男たちは「使命」を果たすため照準を合わせトリガーに指をかけリーダーの指示を待った。そして標的が最も近距離になったとき、「撃て!」という号令と共に引き金を引くと男たちは暗視カメラを外し発射された弾道の軌跡を目で追った。
弾は次々に命中し目標物から火柱が上り行進が止まった。それを見届けた男たちは歓喜の声をあげながら全力で丘を駆け下りトラックの荷台に飛び乗ったが、恋人の事を想っていた男は「彼らにも家族や恋人がいるだろうに。これは本当に神が望んでいることなのだろうか」という思いが、次第に胸中で鈍い痛みを帯びる塊になってゆくのを感じた。
男達の不安を知ってかリーダーの男が沈黙を破るように「我々には神がついている。この聖戦はきっと成功をもたらす」と言うと、残りの男達も「我々の神は偉大だ。この命尽きたとしても神の下へ行けるのだ!」と言って士気を高めた。しかし、一人の男は心の中で「この戦いを早く終わらせ故郷に帰りたい。家族や恋人と争いのない国で静かに暮らしたい」と願っていた。無論そのようなことを口に出してしまうとどんな処罰が待っているかわからない。男は黙って恋人の姿を想い出していた。
トラックが止まると男たちは某国製の暗視カメラを装着し荷台から降りるとロケットランチャーを担いで砂の丘をゆっくり登って行った。頂上に近づくとリーダーの男が身を伏せろと指で指示を出し、残りの男たちはほふく前進で頂上を目指した。
小高い丘から平原を見下ろすと戦車数台と軍用のトラック、そしてマシンガンを搭載したクルーザーが最前線を目指して移動しているのが見え距離はロケットランチャーの射程距離内であることがわかった。リーダーの男が「見えるか。あれが目標だ」と言った。それを聞くと残りの男たちは一斉にロケットランチャーを構え照準を戦車やクルーザーに合わせた。スコープの中にはクルーザーの上で夜警にあたっている兵士の姿が見えたがこちらには気づいていない様子だった。すると一人の男が「あれは本当に敵なのか? 見たこともない国旗だぞ」と言うと、リーダーの男が「あれは極東の国から来た者たちだ。しかし強国の同盟であるから戦線に加わる前に叩いておくのが俺たちの使命だ」と言った。男たちは「使命」を果たすため照準を合わせトリガーに指をかけリーダーの指示を待った。そして標的が最も近距離になったとき、「撃て!」という号令と共に引き金を引くと男たちは暗視カメラを外し発射された弾道の軌跡を目で追った。
弾は次々に命中し目標物から火柱が上り行進が止まった。それを見届けた男たちは歓喜の声をあげながら全力で丘を駆け下りトラックの荷台に飛び乗ったが、恋人の事を想っていた男は「彼らにも家族や恋人がいるだろうに。これは本当に神が望んでいることなのだろうか」という思いが、次第に胸中で鈍い痛みを帯びる塊になってゆくのを感じた。