この住宅型介護施設では時々演奏会が開かれます。少年少女合唱団といっても、少年の方は小学生の男子が2人で残り20人ぐらいは小学生から高校生までの少女ばかりの合唱団です。ピヤノも鍵盤だけで2メートルぐらいある電子音のピヤノで結構いい音が出ていて便利な世の中になったなあと感心していました。
そのうちに、指揮をする中年女性がマイクを握って挨拶をされ、最初の数曲は讃美歌のようでいい感じでした。その後日本の文部省唱歌になり、「皆さんも御一緒に」ということで、「春の小川」や「我は海の子」「ゆきやこんこん」に移っていきました。
途中ハッと気が付いて、少女たちの綺麗な歌声で「猫がコタツで丸くなる」と歌っていることがドウにも合わなくて笑えて来てしまった。思えば、少女合唱団はヨーロッパの教会で発達しました。罪深い人々に代わって一切の罪を引き受け十字架に罹ったイエスに祈りをささげる知己の歌であった。
少女たちの清らかな歌声で祈りを捧げたとき、曲と声と歌詞が一致してまさに感動的な空間を演出したのだった。その女性合唱で「猫がコタツに丸くなる」と歌ってどうしようというのだろう。そんなことを考えながら聞いていたら頭が変になってきた。少女達に歌唱指導をしておられた先生はきっと音大で合唱を学ばれ相当な力をおもちなのでしょう。しかし、何か忘れ物があるように思えました。
音楽と云うのは楽譜を読んで、譜面を忠実に再現するということの他に、作曲家の心にあった情緒、哀愁、あるいは感動を表現し、つたえようとするものです。勝手な暴言でゴメンナサイ。(T)