長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

スタインウェイがやってくる。

2010-06-20 07:20:02 | Weblog
引越しはたいへんだ。
ブンコくんが、いよいよ近くに引っ越してくる。
ピアノと本と器とCDが、それぞれ「これでもか」
というくらいあるので、それらを溝口から押上まで
引っ越してくるのは、神業みたいなことだろう。

彼は音大をでた後、一生懸命に働いて、1960年代のスタインウェイの
ピアノを手にいれた。
ちょうど、うちを改装しているときに、飯場兼飲み処になっていた
二階の奥の部屋に、一本ぶらせげて、やってきた。その酒が「帰山」(きざん)
だった。山に帰る、自然に帰る、という意味と、新しい土地で、新しいことを
始めるぼくに、ぴったりという意味を込めて、もってきた、という話がこころに
しみた。飲むと、あまりの美味さが五臓六腑にしみた。
以前、彼が「死神」をある骨董屋で開催された飲み会に、もってきたことがあり、
そのようなめづらしく美味い酒をあつかっている酒屋が、四つ木にあることを
聞き、次の日に「杉浦酒店」をたずねたのが、昨日のことのようだ。
以来、天真庵のお酒は、杉浦酒店になった。

昨日は、近所に挨拶にきたらしい。うちで蕎麦を食べた後に、トレードマーク
のデイバッグから、紙箱にていねいにつつまれた器をだし、
「これ、引越しのごあいさつがわりです」と、手渡された。
そうろうと、あけてみると、「古伊万里の蕎麦猪口」だ。たぶん江戸末期
くらいのものだと思う。彼らしい流儀みたいなものに、感謝感激。

また、押上に、不思議な奇人がやってくる。