長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

テネシーワルツが染みる

2012-06-27 07:53:20 | Weblog
昨日はタイムドメインだった。
それぞれが持ち寄った酒を、まいぐいのみになみなみついで、いろいろな音楽
を聴く。発売になったばかりの大石学さんの「gift」も、yoshii9で聴くと、
一段といい。7月19日のライブが楽しみだ。毎日のように「空いてますか」の電話
を頂戴するけど、おかげさまで、満席御免!です。

江利ちえみさんのCDを聴いた。とても懐かしい。若い友達に
「この人知ってる?」と聞いたら、「名前くらいは・・・」と
友達がいった。イワジーが「映画のさざえさんの役をした人だよ」といっても
「・・・?」という感じだったので、「高倉健がだんなだった」というと、
「え、高倉健が、ますおさんの役だったんですか」ときた。
「な、わけないだろう!」という話になったけど、昭和は確実に
遠くなりにけり。

大塚に素敵な骨董屋さんがあった。天真庵の二階に飾ってある「バンダヂ」(李朝ダンス)
はそこから、譲り受けたものだ。主人が足腰が弱って、家の倉庫に大事に保管していたものを
誰かに譲ろうか、と悩んでいた時に、こちらから拝みたおして、いただいたものだ。
もちろん、いただいた、といっても、「ただでもらった」わけではない。上場企業で上場廃止
になりそうな会社員の夏のボーナスくらいの値段はした。

そのお店の片隅に、蓄音器が置いてあった。ぼくが遊びにいくと、主人は小さな宝瓶に
玉露を入れてくれて、井上春峰の白磁の玉露茶碗に注いでくれた。時々、その蓄音器
を鳴らしてくれた。ぼくのおきにいりは、江利ちえみさんのテネシーワルツ。
押上に天真庵をつくる話をした時も、「それは、うきうきするね」と目を輝かせながら、
ふたりでテネシーワルツを聴いた。寄る年波にかてず、今年の賀状で、骨董屋を閉めたとの
近況を知った。池袋の天真庵の近所に、その骨董屋がなければ、たぶん、押上にはこなかったし、
煎茶の先生になることもなかったような気がする。その主人が夏の暑い日に入れてくれた
冷たい玉露の味も忘れ難き一杯。そんな「忘れがたき一杯」の珈琲や煎茶を供するお店に
したいものだ。まだまだ精進せねば。