京都から自分の車に荷物を積み、東京に越してきた時、初めて
住んだ町が荻窪。高校の先輩が「東京で住むなら荻窪がいい」
と行っていた言葉を信じて、ワンルームマンションに住んだ。
昭和56年ころだったが、その街には、井伏鱒二さんが住んでいた。
今朝、ネットで注文した彼の傑作「珍品堂主人」が届いた。午前中は
車で千葉まで野菜と小豆を買いだしにいく。先週、なかば冗談みたいな
感じで「あんがれ」というガレットに餡子を入れる商品をつくったら、ことのほか
好評で、久保さんの志野の皿に、空になった餡子がふっついたものが、シンク
の中に毎日たまった。
昨日は珍道中よろしく、たまちゃん、こと悠玄亭玉さんと浅草を着物で楽しんだ。
元、はつくけど浅草芸者と夜の浅草をそぞろ歩くのは、男子一生の本懐みたいなものだ。
本日も明日も、浅草の東洋館で、たまちゃんが三味線を弾く。今日は弟子たちがあまた
行くらしい。齢(よわい)85歳になるけど、芸がさびつかない。
たまちゃんは、プードルの「こばな」を買っているけど、昨日は「ちんや」ですき焼きを食べた。
ここの主人がちんが大好きだったため、そう命名された。
ちんやですき焼きを食べた次の日に、「珍品堂主人」を読む、なかなかの珍味だ。
これからお店に行って夜の「気骨の鮨会」の準備。昨年の一月から突然始まった
月に一度の「カウンターの鮨会」。ずっと満席で、いろいろ交通整理に追われて
いる。でも佐賀の気骨のじいちゃんの体調を考えたりすると、月に一度が限度
なので、しばらく「はやいもん順」になりそうろう。本日は、実験的に少しカウンターが伸びる。
伸びたカウンターに座る人には悪いけど、ぼくが立ち位置に近いので、せめてお酌でもさせてもらおうかしらん。