GWのはじめに帰ってきた息子達と楽しい数日を過ごし、嫁の実家に送っていった。
娘達も明日からは婿の実家、やっと二人だけの静かな休日を迎える。
今夜は静かになった我が家で「象の背中」と言う映画を見た。
末期がんの夫が余命半年と宣告され残された日々を時分の逢いたい人に会い最後はホスピスで家族と共に過ごし亡くなる。
最後に逢いたい人は誰ですか?と問われた。
私も主人公と同じように「喧嘩別れした人」「長く会っていないけど言葉を交わしておきたい同級生や同僚」「お世話になった人たち」「親戚」など。
初恋の人や彼はいないのでもし、逢えなくても心残りは無い。
映画を見つつ、いろんな人との別れが頭をよぎり涙が溢れた。
特にこんな形で別れをした二人の先輩の事は忘れがたい。
がん告知から半年くらいで逝かれたNさんは「早く会いに来い」と電話がかかり友人と二人で行った。
彼は私の結婚にも深く関わってきた人でその詳細が聞きたくて行ったのだが「昔の事は忘れた」と言って笑われた。
丁度奥さんの所にも来客があり、初対面ながら「私は私の友人との打ち合わせがありますのでお茶だけ出します。コーヒーは夫の手作りを味わってくださいね」と言われて少し離して小さなテーブルを置いてそこで話をされた。
私達は昔もいつも職場で淹れて貰っていたネルドリップの美味しいコーヒーの味を味わいつつ話が途切れる事無く話し合った。
不思議に涙も出ないで楽しい時間を過ごした。
気がつくと外はもう暗くなり始め庭の花も段々見えなくなった。
二組の不思議な最初で最後の訪問は「初ちゃん時間が無いから夫と近い内にきてくれ」と言う会話を最後に二度と逢う事は無く病状が急変して亡くなられた。
そんな粋な計らいをされた奥さんも数年後に亡くなられたと聞いた。
もう一人の先輩は娘の出産で神戸に行っている間に病状が悪化して電話で「逢いたいね」と話したがとうとう逢えずに逝かれた。
二人とも「死ぬまでは生きる」と、映画の主人公が言われたのと同じ言葉を言われた。
亡くなられた後も爽やかな気持ちになる素敵な死に様だと思う。
「がん」だと言われてこういう風に毅然として生きることが出来るかどうか今は不明だけど彼らの亡くなった年に近くなった今、「死」を身近に感じられるいい教材となった。