腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



数日前の話。

一人のおじいちゃん(70代後半~80代前半くらい)が電池交換に来られました。

「5分~10分ほどお預かりします」と言って番号札をお渡しました。
おじいちゃんは隣のホームセンターの方へ行かれました。

そのおじいちゃんの後、バタバタっと続けて電池交換や革バンド交換のお客様が2人たて続けに来られました。

まず、最初のおじいちゃんの時計の裏ブタを開けたら、裏ブタの内側に“10年3月”とうちで今年の3月に電池交換したシールが貼ってありました。


あれ!?

入っていた電池の電圧を調べたら、まだ半年も経ってないのでもちろん電圧は十分ある。
とりあえず内部機械にエアーダスターでホコリを飛ばし、注油して電池を戻したら正常に動きました。

歯車でも引っかかっていたんでしょう。


続けて、次のお客様の電池交換や革バンド交換をしていたら、おじいちゃんが戻ってきました。

店主「何か引っかかっていたのかもしれませんが、油を注しておきましたから、これで様子を見てください」
と、まだ半年経っていないことを説明しました。

おじいちゃん「おお!そうか!おおきに!おおきに! カネはええのか?」

店主「もちろん、結構ですよ」

おじいちゃん「ありがと、ありがと! また他にも革バンドが切れたやつがあるから、またそれ持ってくるわ」

店主「はい、お待ちしてます」


と、ここまでは良かったんです。

暫く店内の様子を見ていたおじいちゃんは帰ると思いきや、店の外のベンチへひょっこり腰掛けました。
店主は別のお客様の革バンド交換をしながら「歩き回って疲れたのかな?」程度に思っていました。

電池交換やバンド交換がひと段落して、お客様も次々と引き取りに来られました。

フ~ッ、お客様が重なる時は一気に3人くらい重なるもんです。


一息ついていると、座っていたおじいさんが立ち上がり

おじいさん「できた?」と聞いてきました。


え!?

店主「何がです?」

おじいさん「バンド交換やがな」

店主「え? 預かってませんよ」

おじいさん「何を言うてるんじゃ!早よう返せ!」

店主「え、え!?ちょっとf待ってください。僕、今、その腕にしてる時計の電池交換しかお聞きしてませんよ」

おじいさん「そんなことあるかぁ!バンド交換も頼んだ!」

店主「そ、その時計のバンドですか?」

おじいさん「違う時計じゃろうが!早よ返さんか!」

店主「だから、預かってませんって(困)」

おじいさん「オイ!お前!エエ加減なこと言うな!(怒)」

店主「そんなエエ加減なこと言うわけないでしょう!」とこっちもちょっとヒートアップ。

おじいさん「よし、分かった。いっぺん家帰って調べてくる!」と怒鳴りながら帰られました。


な、なんですの、一体?


そして翌日の朝...

再びおじいさんが現れ

おじいさん「ほい!ほら、出来てるか?」

うわっ!また来た!

店主「だから、何も預かってませんよ(困)」

おじいさん「家探したけど、無いがな!」

店主「知りませんし(困)」

するとおじいさんは急に大声で

おじいさん「お前は何言うとんじゃ!早よ返えさんか!(怒)」

店主「何も預かってないものを返せませんよ!」

おじいさん「お前は~~っ!どういう育ち方をしとるんじゃ!」


この一言で普段は温厚な店主の琴線がプチンと音を立ててキレました。


店主「今、何て言いました?“どういう育ち方”? もうええ加減にしてくださいよ!(怒)」

おじいさん「出るとこ出てもええんやぞ!」

店主「ああ、そうしてください!喜んで!」

おじいさん「ふんぐぐぐぐぐ~~~ぅ!息子連れてくる!(怒)」

店主「是非そうしてください!(怒)」


それから1週間近く経ちますが、おじいさんは帰ってきません...


まさかこの年になって親よりも年上のご老人に罵られるとは思いもしなかった腕時計修理専門店トゥールビヨン店主
どんな育ち方って...ミドルアッパークラスですが、何か。

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