腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



昨日の午後、一人の男性(30代半ばでガッシリタイプ)が来店されました。

男性客「私、こういうものですが」

ポケットから取り出した黒革の手帳のようなものをペロッと開いたら金色に輝くバッジが出てきた。

!!

刑事さん!?

そうか...
とうとう見つかってしまったか...

18年の潜伏期間中は毎日ヒヤヒヤしていて、一日も気の休まることがなかった...


刑事さん「実はですね、報道とかでご存知かどうか分かりませんが、先月須磨海岸で身元不明の男性のご遺体が発見されまして、その件で」

え!?
私を逮捕しに来たんじゃないの!?(笑)

持っていたバインダーからチラシを出して見せられた。
これ↓


ほぅほぅ、2月4日に神戸の須磨海岸沖で発見された男性...

で、何故須磨の件を東大阪で?
しかもうちに?

刑事さん「男性が着けていた腕時計が、どうやら修理した形跡があるようで、それで京阪神の時計修理店を順番に当たってるところなんです」

店主「へぇ~」

刑事さん「で、インターネットで修理店を検索してたら、トゥールビヨンさんが出てきたので」

店主「なるほど」

これがあのウワサの遺留捜査ですか。

その身に着けていた時計がこれ↓

ステンレスのブレス仕様で販売されていたモデルだが、購入後オリス純正の革バンドに交換されているとのこと。

オリスは数多く修理でお預かりしているが、ムーンフェイズのモデルって記憶にないなぁ...

刑事さん「何か、修理記録のようなものは保管されてないですか?」

店主「ええ、ございます、ございます。『お客様カルテ』ってのがありまして、お客様のデータと時計の写真を保管してます」

刑事さん「拝見させてもらってもいいですか?」

店主「もちろんです」

気が付くと、もう一人別の私服刑事さんが立っていた。


2人に囲まれたらもう逃げきれない...

年貢の納め時か...

いや、店主を捕まえに来たんじゃなかったし(汗)

って、何もやましいことしてないし!


駐車場に停めてある車の中で確認するということで、オープン当初の2005年からのファイル(分厚いファイル4冊)をお渡しした。

...

小一時間ほど経ってもなかなか帰ってこないのでちょっと不安になってきた。

刑事と名乗って、実はうちの店の顧客管理データを盗む為に同業者が雇った産業スパイなんじゃないのか!?

そう言えば警官バッジもハッキリと見なかったしな。

元町の高架下あたりで買ったレプリカなんじゃないのか!?


と思っていたら、ファイルを抱えて戻ってこられた。

刑事さん「いやぁ、素晴らしい管理状況ですね!調べやすかったです」

店主「いや、それほどでも(照)」

刑事さん「該当のオリスはここでの修理記録はなかったようですね」

店主「ええ、私もこのモデルの記憶はないですね」

!!

つい出てしまった!

刑事さんに対して「記憶にございません」って初めて言ったし!

何に興奮しているのか分からないが、「細かいことでも何でもいいから情報があれば連絡ください」と言い残して帰っていかれた。

ご苦労様です。

一時でも「本当の刑事さんか?」と疑った自分を恥じます。


で、何かお心当たりのある方は、ここへご連絡を↓



確かにユニクロのチェック柄シャツから身元を特定するのは厳しいなと思った腕時計修理専門店トゥールビヨン店主

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