田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

ブロークン ナイフ

2015-12-12 18:31:04 | 2人3脚チンタラ道中
九月初めの週刊誌・女性セブンに、「 元少年Aは、矯正なんかしていない! 」 の意の見出しが。
元少年Aとは、日本中を震撼させた、酒鬼薔薇殺人犯のことです。
少年Aが、いけしゃあしゃあと、自伝を出版したことに対する感情でしょうか。
女性誌には珍しく、硬派な表現です。
元少年Aを更生施設に送って、多額の国民の税金を費した挙げ句、
より大型モンスターに作り変えた制度の無意味さ。
その国営システムの無駄さへの怒りが、行間にただよっています。
更生させることが、如何に難しいかを嘆いているようです。
そう、犯罪者を更生させ、再犯を防止する道のりは、案外遠い。

70年代、ヒゲが働いていた京都の料理旅館。
保護司さんから頼まれて、十代後半の青年を調理場で預かることになりました。
なにやら訳ありの人物みたいです。
やがて調理場に現れた青年を見て、合点がいきました。
頭は尾崎きよひこ風で、白衣は着ているのですが、ボタンを掛けてない。
だらしない格好です。
仕事中も、ズボンのポケットに手を突っ込んだままの、やる気なさ。
A料理長も、精一杯注意するのですが、暖簾に腕押しのふぜい。
そんな日々が二・三日続いたある日、そろそろ夜の閉店時間です。
その日の泊まり客が無いから、明日の朝食はありません。
だから、今夜のヒゲは調理場用の簡易部屋での宿泊の必要がありませんでした。
ヒゲは嬉々として、バイクで帰宅します。
山を降りれば、アケミちゃんの待つマンションが在るのです。
                       
そして、次の朝。
店に出勤すると、運転手の兄さんが慌てて駆け寄ってきました。
調理場用の部屋を見てくれと言うのです。
のぞいて見ると、ソレはおぞましい光景でした。
ヒゲ達を震え上がらせたのが、壁の光景でした。
柳刃包丁が土壁に突き立てられ、90度にボキリと折り曲げられていました。
その包丁は、ヒゲのネーム入りの愛用品だったのです。
                    
まるで、映画の殺人現場のシーンみたいで、茫然自失で眺めるばかり。
どうやら、くだんの青年が酒を飲んだ挙句、ひとりで大暴れしたらしい。
以後、姿を見ることはありませんでした。

大事な柳刃は駄目にしましたが、ヒゲは虎口を脱したことを理解しました。
もし、泊まり客があり、いつも通り調理場用部屋で宿泊していたら ・・・ 
寝ているヒゲは、この包丁を振り回す酔っ払いと遭遇したでしょう。
すると、柳刃は壁ではなく、ヒゲの腹の上に突き立てられたかもしれません。
下手すると、このブログは存在しなかった可能性があります。
巡り合わせの幸運を、感謝するばかりでした。

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