昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) 「イヤっ!」

2014-12-31 12:16:41 | 小説
「ありがとう。すっごく、美味しかったよ」 彼は貴子に覆い被さるようにしながら、貴子の耳元で囁いた。一瞬貴子はたじろいだが、流し台を背にして動くことが出来なかった。彼の両手が貴子の背に回され、グイッと引き寄せられた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) 貴子のドジさ加減は

2014-12-28 11:05:55 | 小説
カレーライスをパクつきながら、会話が弾んだ。 女子校に通っていた貴子のドジさ加減は、笑いが絶えなかった。 「でね、親友宛のデートの誘いを自分だなんて勘違いして、待ち合わせの場所に行ったの。 キョトンとしてるの、相手が。 そりゃそうよね、言付け(ことづけ)を頼んだ相手が来るんだもん。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) 歯ブラシ、二本買っちゃった

2014-12-23 10:33:32 | 小説
“わたしったら、なにを言ったのかしら。早く帰ってきてね、なんて。 まるで新婚の奥さんみたいなことを言って。変に思わなかったかしら。 どうかしてるわ、わたし。彼は、まだ学生なのよ” 帰り道、今夜の彼とのことを思い返しては、ぽっとほほを赤らめる貴子だった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) これからさ、あなたのアパートに連れてってよ。

2014-12-22 08:38:29 | 小説
「ねえねえ。これからさ、あなたのアパートに連れてってよ。 次のお休みの日に、お邪魔したいから。 日用品は、明日デパートで揃えてあげるから。 私に任せてくれるでしょ? うんと、可愛らしい柄を揃えてあげる」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) 正直な女性だ

2014-12-20 09:54:13 | 小説
喫茶店から外に出ると、とたんに寒風が二人を襲った。 「うぅ、さぶい。寒いよお、貴子さあん」 別に、意味のある言葉ではなかった。全く、他意はなかったのだ。 しかし貴子は、 「はい、はい。分かったわよ。これでいい? 少しは、暖かいでしょ」 と、彼の腕に自分の腕を滑り込ませた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (七) どうだった? ふる里は

2014-12-18 08:50:45 | 小説
テーブルに並べられた二種類のサンドイッチを、二人してパク付き始めた。 「ねえねえ、野菜サンドも食べなきゃだめよ!」 彼がハムサンドに手を出すと、貴子は軽く彼の手をつねった。 「痛てて。もう、母親みたいなこと言わないでよ」 . . . 本文を読む

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