昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二) ライバル心

2015-04-30 08:34:13 | 小説
「由香里のお母さんはねえ、すごいんだよ。服を着てるから分からないでしょうけど。 由香里もね、大人になったらきっとああなるんだから。 麻由美なんか、目じゃないよ。だからタケシさん、期待しててね」 目を輝かせながら、熱っぽく由香里は訴えた。 麻由美に対するライバル心が、彼にも手に取るように分かった。 やっと彼にも、麻由美とは偶然に出会ったのではないことが分かった。 思わず、苦笑する彼だった。 「 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二) 「半分ずつね」

2015-04-28 08:42:16 | 小説
言うが早いか、由香里はカウンターに向かった。 由香里は、フローズンタイプとバニラクリームを両手で大事そうに運んできた。 そして又、「半分ずつね」と、彼に確認をする。苦笑いをしながら、彼は頷いた。 小降りになっていた雨が激しくひと降りすると、程なく上がった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二) 色気より、食い気だ

2015-04-27 08:45:48 | 小説
ハンバーガーを頬ばりながら、由香里は一人しゃべり続けた。 麻由美の羨ましがった様を、身振り手振りを交えて話した。 あまりの誉め言葉にこそばゆく感じる彼だったが、悪い気はしなかった。 余程に空腹だったのだろう、彼の食べかけのバーガーまでも口にした。 「ねえ、由香里のフィッシュとタケシさんの照り焼きと交換しようよ」 「いいよ、いいよ。あげるよ」 「だめえ! 由香里の食べかけも食べてくれなくちゃ。 ジ . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二) 上機嫌

2015-04-26 09:49:19 | 小説
やっとの思いで解放された彼は、「彼女に、よろしくねえ!」と言う声を背にして、由香里の元に戻った。 由香里は上機嫌だった。 「いやだあ、彼女だって。ククク、デートだって分かるんだね」 「そうだな。じゃ、出ようか」 彼としては、一刻も早くこの場を立ち去りたかった。 何かの拍子に貴子が現れるのではないのか、と気が気ではなかった。 万に一つもあり得ないことなのだが、とに角デパートから離れたかった。 「 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二) 従妹なんですよ

2015-04-25 10:58:39 | 小説
結局、大きな花柄のワンピースを由香里は手にした。 彼はホッとした表情で 「うーん、良いよ。凄く似合ってる。ますます可愛らしくなった」 と、手を叩いて褒めそやした。 「そうだね。今の由香里には、これが一番だよね」 満足そうに頷きながら、由香里はレジに進んだ。 彼は、由香里を制して支払いをすることにした。 「ご褒美だ。テストを、頑張ったね」 「やったあ! じゃあさ、由香里にもお兄ちゃんにプレゼン . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二) ピンク光線にまいったか!

2015-04-24 08:54:31 | 小説
サングラス姿の彼に、由香里は目を丸くした。 「どうしたの、それ。でも、かっこいいよ。麻由美も『ステキね』って、言ってた」 「だろう? 由香里ちゃんがお友達に僕のこと、自慢してるみたいだったからさ。大人の雰囲気を、醸し出そうと思ってね」 まさか、別れた恋人がこのデパートに勤務しているから、とは言えなかった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (十二)今度、 彼氏を紹介するわ

2015-04-22 08:42:42 | 小説
強い陽射しの下、由香里はウキウキとした気分で早足で歩いた。 ともすれば、彼を置き去りにしてしまう程だった。 「先生ぃ、早くう。遅れちゃうよー」 「大丈夫だよ。まだ、時間はあるよ。二十五分のバスなんだから」 彼は腕時計で確認してから、由香里に答えた。 . . . 本文を読む

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