「こいつは、辞めたくないんです。こいつ、社長に、とことんほれぬいているんです。もちろん、ぼくら二人もそうですから。もう、死ぬまで付いて行くつもりなんですから」 . . . 本文を読む
“それにしても先祖供養は大事なもんだ。特に墓参りは、しっかりとしなくちゃな。
戦争から無事に帰れたよって、報告しただけなのに。
婆ちゃんのおかげかな、トーマス軍曹と知り合えたのは。
それにしても、GHQの高官たちの通訳だとは、まったく付いてたぜ”。 . . . 本文を読む
そして今日だ。昨日の雨が嘘のように晴れ上がった日、五平が武蔵に注進した。
「社長。今夜辺り、銀座でもぶらつきませんか。ほら、先日お話しました件ですよ。そろそろ、催促が入りそうなんですが」 . . . 本文を読む
「しかしね、社長。最近、アメリカさんのご希望が変わってきました。『言葉が通じなくてもいいから、グラマラスな女にしろ!』ってね。どうしたって今の日本でグラマーな女というのは、少ないですからねえ。そこで、待ってるだけじやなく、打って出ようかと思うんですが」 . . . 本文を読む
あなたって、どういう人なんでしょう?
何かずっと見守ってあげたい。
見守るという言葉が適切でなければ、
見ていたい……。
そういう気持ちを起こさせる人なの。
そしてそれが、決してあなたの重荷にならないように
遠くから、そっとと思う。
だから、ずっとお友達でいたいの。
他人は誰も皆、あなたや
もう一人のあなたの作品を読んだ後、
あたしをまじまじと見つめて、言う。
『あなたは . . . 本文を読む
頻繁に進駐軍のジープが富士商会の前に止まり、五平と親しげに話す進駐軍の通訳であるトーマス・カトウ軍曹が目撃された。たちまちの内に、富士商会で販売される商品がGHQ経由らしいという噂が広まり、盗品じゃないのかという口さがない陰口がピタリと収まった。 . . . 本文を読む