昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)迎えに来たよー!

2015-09-29 09:07:42 | 小説
= タケくんも、もう立派な大人です。自分の行動に責任を持ってくださいね。お母さんも、そうしたいと思っています。 = 彼の手紙に対する母親からの返信は、意外にも淡々としていた。泣き言が書かれているものと考えた彼は、肩透かしを食らった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)話に乗らないようにね

2015-09-28 08:56:15 | 小説
四十半ばの女性が、彼の背を支えた。 背中に宛がわれた両の手は暖かく、冷え冷えとしている彼の体に、じんわりと暖気が入り込んでくる。 「学生さんだったわね? このアパートでは珍しいわね。 あなた、お酒なんか飲むんでしょ? 翌日、辛くない?  良いのがあるのよ。シジミのね、エキスがたっぷりと‥‥」 気さくに声をかけてきたが、アパートの管理人に「話に乗らないようにね」と、忠告されている。 「お隣さんに . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)ジョンという犬

2015-09-25 09:09:57 | 小説
早速彼は、母親にその旨手紙にしたためた。 「泣き言を言われるだろうなあ。お爺さまのこともあるし、お母さんも大変だろうし。 けど、僕の一生に関わることなんだ。佐山さんにお願いすることになるかもしれないんだし」 気が重い彼だった。 アパートを出て、少し歩いたところの角にあるタバコ屋に設置されている赤いポストまで歩いて五分ほどなのだが、長い時間に感じた。 隣の民家の玄関先では、ジョンという犬が犬小 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十七)えいっ、えいっ、Oh!

2015-09-17 09:06:47 | 小説
「今年の冬は暖冬傾向になりそうです」 気象予報士の言どおりに、暖かな日々が続いた。 商店街の活気は弱く、繁華街に人が溢れることもなかった。 「こう不景気じゃ、クビでもくくるしかないよ」 「そうだね。保険金をいただくしかないかねえ」 冗談とも本気ともとれぬ話が、街のあちこちで聞かれていた。 決まって最後に「入ってたらの、話だげどさ」というオチが付いて、笑いがこぼれた。 しかしその笑いは、当の本人向け . . . 本文を読む

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