リビングルームの壁には竹久夢二らの絵がかけてある(実際は違っています)。
どうせなら美しい女性を鑑賞したいということで、印象派の絵画はどうでしょうか。先ずはルノワール、そしてセザンヌ。ドガの踊り子シリーズも良いですねえ。 . . . 本文を読む
「あたし、前田ふみ。あなたのお名前は? 」
「は、はい。あたしは、竹田小夜子と言います」
「そう、さよこさん。いい名前ね、マッケンジーが喜びそうな名前よ」
「前田さんは通訳の方ですか?」
「本業はね、違うの。デザイナーの卵なの。今、勉強中。
で、食べるためにね、通訳してるの。
デザイナー相手だと、すっごく勉強になるのよ。
デザイナーって分かる? 服のね、素材とか形とか、いろいろと決めるの」
田舎 . . . 本文を読む
外人からの言葉に対して、坂田が中々納得せずにいるようだ。次第に外人の声が荒くなり、坂田に詰め寄る風に見えた。女性通訳と坂田との会話はステージの袖でのことで、小夜子には聞こえない。 . . . 本文を読む
ショーは五階のフロアで行われる。エレベータを降りると真新しい板で仕切られた一角があった。フロアの半分ほどを使ってのファッションショー会場となっている。舞台設定は真っ直ぐに伸びるランウエイのステージを囲むように、観客席が用意されている。 . . . 本文を読む
8:20、日光ツアーへの出発です。
前回の岩手県平泉町の中尊寺に赴いた折りに立ち寄った日光東照宮ですが、その折りには工事中だったので大して楽しめませんでした。
車だったこともあり、疲れがたまっていたことも要因の一つかもしれませんが。 . . . 本文を読む
「仕方ないねえ、こればっかりは」
乗り合わせていた白髪の老紳士が、小夜子に声をかけた。柔和な顔つきはすべてを成し終えたという安堵感に溢れていて、少し甲高い声もゆっくりとした口調だった。 . . . 本文を読む
「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ」
一人一人のお客に対して、深々とお辞儀をして迎えているエレベーターガールのその済んだ声に、思わず「やっぱりね、声も違うわね」と、関心する小夜子だ。 . . . 本文を読む
その名の通り、ありとあらゆる商品が所狭しと並べられた、百貨店。「宝石箱をひっくり返したような朝」という一文が、小夜子の頭でグルグルと回っている。朝露に彩られた田舎道を歩いたときに覚えた、あのめまいに襲われた瞬間が、今まさに眼前に広がっている。 . . . 本文を読む