その夜、彼はなかなか寝付かれなかった。
身体は疲れているのだが、頭の中にあの令嬢が所狭しと現れ出てくるのだ。
参拝の後に露店でおでんをつついたのだが、どんな味だったのか覚えていない。 . . . 本文を読む
全てが令嬢のペースであり、彼は唯々付き従うだけであった。気まぐれに行動する令嬢に振り回されながら、時として反発心を感じる彼ではあったが、すぐにも萎えてしまう。
茂作の束縛から逃れようとした彼が、今又令嬢の意志に従うことは、或意味で滑稽ではあった。しかし彼は、満足だった。女王然とする彼女に従うことに、悦びさえ感じた。 . . . 本文を読む
構内における彼は、その無口さも手伝い、異性はおろか同性の友人さえいなかった。
この二流大学に籍を置く学生らは、彼のプライドを充たすものではなかった。
常に学業においてトップを走る彼は、他の学生の試験時における右往左往ぶりが滑稽だった。
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明治生まれの頑固な祖父の元から抜け出した彼は、十分過ぎる自由を持てあまし気味つつでもあった。
単身この地に出向いた彼には、全てが素晴らしいものであった。
月々の仕送りの額に特別不満があるわけではなかったが、大学1年の夏休みに始めたアルバイトをその後も続けた。
デパートのお中元配達のアルバイトに、彼は喜々として励んだ。 . . . 本文を読む
贅沢三昧に物品を買いあさる母親に対して、一言の苦言を言うでもなかった。
いや、むしろ喜んでいるようであった。
美しく着飾る母親を見て、満足の笑みさえ浮かべていた。
「おきれいな奥様をお持ちで…」という、その挨拶言葉に対し満足げに頷いていた。
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しかしその為に、自ら部活動すら決めることすらできないひ弱な青年に育ったことも、否めようのない事実だった。
結局の所、茂作翁の決めることとなり、数ある部の中から「源氏物語クラブ」が選ばれた。
理由は、「古典の授業において有利に働くから」であった。 . . . 本文を読む
彼は茂作にとっての初孫であり、とに角可愛かった。
“眼の中に入れても痛くない”ものだった。
しかし、甘やかして育てた小夜子を見るにつけ、
その世間知らずさ人の好さが災いしたことで、二度と同じ過ちを繰り返すまいと恐れる茂作だった。
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祭りだからと便りを出しても母だけを帰し、自らは仕事に打ち込んだ。武蔵にしてみれば、生き馬の目を抜くようなご時世である。一日たりとも、仕事から離れるわけにはいかない事情もありはしたが。然もそれまで冷たい目を向けていた村人達が、武蔵と姻戚関係が結ばれてからというもの、下には置かぬ扱いに変わった。 . . . 本文を読む
高賀神社は、こうかじんじゃと読みます。
というところで、少しばかり、ご説明を…して頂きます。
高賀神社(こうかじんじゃ)は、岐阜県関市洞戸高賀にある神社である。
別名、高賀山大本神宮。
標高1,224mの高賀山の山麓にあり、高賀山を囲む高賀六社の一社。旧社格は郷社。 . . . 本文を読む
盛大な結婚式は村中をあげてのもので、何と三日三晩にも及んだ。
一日目に神主を自宅に招いての神前結婚式を行い、その夜神主を大いに歓待した。
二日目は一族郎党との顔合わせとなり、一族郎党へご祝儀袋が手渡された。
そしてその夜は当然ながら、大宴会が催された。 . . . 本文を読む
わずか二時間足らずの滞在でしたが、十分な休養をとることができました。
さらに奥になると言うことでしたが、霊験あらたかな滝があるという情報があります。
今日は、このまま名古屋に戻りたいということで、またの機会にということに。 . . . 本文を読む