小夜子の顔色を伺う正三に、柔らかく微笑む小夜子だった。
口元を緩めて、突然小夜子が笑いだした。キョトンとする正三に、小夜子が言った。
「前田さんの予言通りね」 . . . 本文を読む
「ただいまあ、お父さん。楽しかったよ、ありがとうね。
今度はね、お父さんもご一緒にどうぞだって。来年の早い時期にまた来られるようにするからって。
それまでにね、あたしは、絶対英会話が出来るようになってなきゃ」
キャッキャッとはしゃぎ回る小夜子に、茂作はにこやかな表情を見せるだけだった。
昨日までの、いや小夜子が帰って来るまでの憔悴しきった顔が、ただいまの声と共に、消え去った。
一気に生気が戻った . . . 本文を読む
茂作の怒りようは尋常ではなかった。正三の予想の範囲を遥かに越えていた。
「なんのために付きそったんだ、お前は。小夜子の身になにかあったら、どうするつもりだ! 責任をとれるのか!」 . . . 本文を読む
東京駅に帰り着いたのは、予定時間(18:50)より早い18:40でした。
日光出発時には「7時を回ると思ってください」とのアナウンスがありましたが、渋滞に巻き込まれなかったということでした。 . . . 本文を読む
翌日、大勢の見送りの中、晴れ晴れとした表情のアナスターシアが居た。はじけんばかりの笑顔を見せて、大きく手を振るその一挙手一投足に歓声が上がった。アナスターシアも、感謝の意を込めて、四方八方へと投げキスを繰り返した。 . . . 本文を読む
灯りを落とした部屋で、窓から差し込む月明かりの中、三人並んで踊りだす。
窓に映るアナスターシアの真似をしながら、手をユラユラさせ腰をクネクネと。
流れる汗を拭くこともなく、ただひたすらに腰をくねらせている。 . . . 本文を読む
「アナスターシア。そろそろ、就寝タイムですよ。明日は、雑誌社の取材と対談が入っていますから」
夜更かし厳禁のアナスターシアは、前田に諭されベッドへ入った。
「Sayoko,Come here!」 . . . 本文を読む
アナスターシアと小夜子、そして前田の三人は、百貨店が用意した打ち上げ会に参加することはなかった。とにかく小夜子との会話を楽しみにするアナスターシアにとって、他の諸々のモデルたちにはまるで興味を覚えない。といより、邪魔者ばかりだった。 . . . 本文を読む
「あのお、お爺さんのことだと思いますが」
恐る恐る正三が口を開いた。何度か口を挟もうとしたものの、前田のあまりの剣幕に恐れを抱いてしまっていた。小夜子ですら、気圧されているのだ。正三如きが、だ。 . . . 本文を読む
「ごめんなさい。あたしもおしゃべりしたいんですけど、ほんとに時間が……」
「ちょっと! アナスターシアよ、世界の憧れの的の、アナスターシアよ」
信じられない思いだった。断るなどということは、ありえないことだ。
銀幕のスターたちでさえ、会いたがるのだ。
実際、雑誌社からの取材申し込みが殺到している、と聞いている。
対談の申し込みも、だ。それを、この娘が断る、と。
「あなた、どうかしてる。絶対、お . . . 本文を読む