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こんにちは
久々のインド旅行記です。
30年近く前、私がインドを一人旅した時の日記をもとにお送りいたしております
前回、ダッカで知り合い、カルカッタで待ち合わせの約束をした、自転車でカルカッタからインド最南端のカーニャクマリまで走破しようという野望を持つ日本人青年、K君、カルカッタで会うことはかなわず、なんとこのプリーで奇跡の再会!
2人ともカルカッタで、小芝居からセリフまで同じだったという詐欺に引っかかってしまったことが判明、痛い話ながらも久しぶりの日本語の会話に大いに盛り上がった、というところまででした。
では、続きをどうぞ
***********************
プリーの東側地区は、おれのいる西側地区とは違い、貧しい漁村や掘立小屋に住む人たちが多く、貧乏旅行者向けの安宿もこちら側に集中していた。
オーナーの奥さんが日本人で、ちょっと遠出するときなどにはおにぎりを作ってくれたりするという安宿の情報が地球の歩き方に出ていた。K君がそこへ宿をとりたいと言う。
『OK、そこならっ知ってるよ、一緒に行こう』
おれたちはホテルを出て歩き出した。
自転車を引きながら歩くK君と並んで、ホテルの通りを駅の方へ向かい右に折れる、そこからバブーとロメオ、二人の中学校時代の担任教師と『キン〇マ』の大合唱の宴をした掘立小屋のレストランの脇を通り、海岸線の道へと出る、海岸線へ出て左、しばらく歩くと安宿や、貧乏旅行者向けのレストランが並んでいる。
『ヘイ!ジャパニー! 友達が来たのか!』
よく会うサイクルリクシャ―引きの男が声をかけてくる。
『ああ、彼は今朝プリーに着いたばかりだ』
『そうか! それは良かったな!』
リクシャ―引きが嬉しそうに笑った。
『小平次さん、すごいですね!この街で結構顏知られてるんですね!』
『いや、毎日だらだら歩いているからね』
やがてお目当ての日本人奥さんのいるホテルへと到着、いかにも貧乏旅行者向けの味わいあるインドらしい安宿だ。
狭い入口から中へ入る、すぐ右手に小さなフロント、のようなものがあって大柄で体格の良いインド人男が座っている、K君はその男を見るといきなり日本語でまくしたてた。
『おれさぁ!』
と言って自分を指さす。
『今日からここに!』
と言って床を指さす。
『泊まりたい!』
と言って、両手のひらを合わせ頬にあて、首を傾け『寝る』、という仕草をする。
『一泊! いくら!?』
と言って人差し指を立て、『1』を示し、それから親指と人差し指で輪を作り、再び『いくら!?』とまくしたてる。
フロントの男は目をパチクリさせ、入って来てくるなり、いきなり日本語でまくしたてて来た日本の若者に驚いているようだ。
『一泊! いくら!?』
K君がジェスチャー交じりで繰り返す。
『……、 30 Rupee…、』
通じたようだ…。
『一泊30ルピーって言ったんですよね? ところで小平次さん、いつまでプリーにいるんですか?』
『うーん…、決めてないけど、まだしばらくはいるつもりだよ、ここからあまり動く気はないから』
『そうですか、じゃあとりあえず一週間くらい予約しとこうかな…、えっと、一泊30ルピーだから、…、210ルピーか!』
K君はそう言って財布から210ルピー取り出しまたまくしたてる。
『そしたらさぁ! 一週間! 一週間泊まるから! 210ルピー!ほら! OK!?』
『One week? OK』
また通じたようだ。
おれはダッカで知り合ったときにK君が言っていたことを思い出していた。
『小平次さん、おれ中学しか出てないんで、英語とかさっぱりわかんないです、ほんと、This is a pen、くらいしかわかんないんです、でも、まあ何とかなりますよ!』
本当に何とかなってしまった。カルカッタからプリーまで自転車でやって来たのだから、当然ガイドブックなどには出ていない街にも滞在しただろうし、その中には観光客慣れもしていないような街もあったろう、それを今の調子で、日本語でまくしたてて乗り切って来たのか!
まさに
『ツワモノ』
である。
たった一人で英語もままならず、それでも自転車でインド最南端まで行こうと言うのだから、本当に大した男である。
そんなツワモノのK君ですら、ダッカの喧騒と混沌に気圧され、カルカッタではしばらく一緒にいて欲しい、とおれに願い出てきたのだ。それが互いに詐欺にやられ、会うことすらできなかった。ダッカがかわいく思えるほどのカルカッタの喧騒と混沌、それがいかに凄まじいものなのか、わかろうというものである。
無事にホテルを予約し、おれたちはまた通りへと出る。シメンチャロ―のいるレストラン、『ミッキーマウス』もほど近い。
『K君、すぐ近くにおれが良く行くレストランがあるんだ、そこで再会を祝して一杯飲ろうよ、おれがおごるよ!』
『いいんすか!?小平次さん、詐欺にやられたのは小平次さんの方が大きいのに!』
おれたちは思わず吹き出し、ミッキーマウスへと向かった。
******************
Kくんは本当にすごいやつでした。これからしばらくK君とつるんで過ごします。後にバブーやロメオにも紹介し、つるむようになります。
K君、今どうしてるかなあ?
帰国後、しばらくは手紙のやりとりをしたんですが、私が引越しを繰り返している内、いつの間にか途絶えてしまいました。
※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外の「イメージ」としている画像はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です。
こんにちは
久々のインド旅行記です。
30年近く前、私がインドを一人旅した時の日記をもとにお送りいたしております
前回、ダッカで知り合い、カルカッタで待ち合わせの約束をした、自転車でカルカッタからインド最南端のカーニャクマリまで走破しようという野望を持つ日本人青年、K君、カルカッタで会うことはかなわず、なんとこのプリーで奇跡の再会!
2人ともカルカッタで、小芝居からセリフまで同じだったという詐欺に引っかかってしまったことが判明、痛い話ながらも久しぶりの日本語の会話に大いに盛り上がった、というところまででした。
では、続きをどうぞ
***********************
プリーの東側地区は、おれのいる西側地区とは違い、貧しい漁村や掘立小屋に住む人たちが多く、貧乏旅行者向けの安宿もこちら側に集中していた。
オーナーの奥さんが日本人で、ちょっと遠出するときなどにはおにぎりを作ってくれたりするという安宿の情報が地球の歩き方に出ていた。K君がそこへ宿をとりたいと言う。
『OK、そこならっ知ってるよ、一緒に行こう』
おれたちはホテルを出て歩き出した。
自転車を引きながら歩くK君と並んで、ホテルの通りを駅の方へ向かい右に折れる、そこからバブーとロメオ、二人の中学校時代の担任教師と『キン〇マ』の大合唱の宴をした掘立小屋のレストランの脇を通り、海岸線の道へと出る、海岸線へ出て左、しばらく歩くと安宿や、貧乏旅行者向けのレストランが並んでいる。
『ヘイ!ジャパニー! 友達が来たのか!』
よく会うサイクルリクシャ―引きの男が声をかけてくる。
『ああ、彼は今朝プリーに着いたばかりだ』
『そうか! それは良かったな!』
リクシャ―引きが嬉しそうに笑った。
『小平次さん、すごいですね!この街で結構顏知られてるんですね!』
『いや、毎日だらだら歩いているからね』
やがてお目当ての日本人奥さんのいるホテルへと到着、いかにも貧乏旅行者向けの味わいあるインドらしい安宿だ。
狭い入口から中へ入る、すぐ右手に小さなフロント、のようなものがあって大柄で体格の良いインド人男が座っている、K君はその男を見るといきなり日本語でまくしたてた。
『おれさぁ!』
と言って自分を指さす。
『今日からここに!』
と言って床を指さす。
『泊まりたい!』
と言って、両手のひらを合わせ頬にあて、首を傾け『寝る』、という仕草をする。
『一泊! いくら!?』
と言って人差し指を立て、『1』を示し、それから親指と人差し指で輪を作り、再び『いくら!?』とまくしたてる。
フロントの男は目をパチクリさせ、入って来てくるなり、いきなり日本語でまくしたてて来た日本の若者に驚いているようだ。
『一泊! いくら!?』
K君がジェスチャー交じりで繰り返す。
『……、 30 Rupee…、』
通じたようだ…。
『一泊30ルピーって言ったんですよね? ところで小平次さん、いつまでプリーにいるんですか?』
『うーん…、決めてないけど、まだしばらくはいるつもりだよ、ここからあまり動く気はないから』
『そうですか、じゃあとりあえず一週間くらい予約しとこうかな…、えっと、一泊30ルピーだから、…、210ルピーか!』
K君はそう言って財布から210ルピー取り出しまたまくしたてる。
『そしたらさぁ! 一週間! 一週間泊まるから! 210ルピー!ほら! OK!?』
『One week? OK』
また通じたようだ。
おれはダッカで知り合ったときにK君が言っていたことを思い出していた。
『小平次さん、おれ中学しか出てないんで、英語とかさっぱりわかんないです、ほんと、This is a pen、くらいしかわかんないんです、でも、まあ何とかなりますよ!』
本当に何とかなってしまった。カルカッタからプリーまで自転車でやって来たのだから、当然ガイドブックなどには出ていない街にも滞在しただろうし、その中には観光客慣れもしていないような街もあったろう、それを今の調子で、日本語でまくしたてて乗り切って来たのか!
まさに
『ツワモノ』
である。
たった一人で英語もままならず、それでも自転車でインド最南端まで行こうと言うのだから、本当に大した男である。
そんなツワモノのK君ですら、ダッカの喧騒と混沌に気圧され、カルカッタではしばらく一緒にいて欲しい、とおれに願い出てきたのだ。それが互いに詐欺にやられ、会うことすらできなかった。ダッカがかわいく思えるほどのカルカッタの喧騒と混沌、それがいかに凄まじいものなのか、わかろうというものである。
無事にホテルを予約し、おれたちはまた通りへと出る。シメンチャロ―のいるレストラン、『ミッキーマウス』もほど近い。
『K君、すぐ近くにおれが良く行くレストランがあるんだ、そこで再会を祝して一杯飲ろうよ、おれがおごるよ!』
『いいんすか!?小平次さん、詐欺にやられたのは小平次さんの方が大きいのに!』
おれたちは思わず吹き出し、ミッキーマウスへと向かった。
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Kくんは本当にすごいやつでした。これからしばらくK君とつるんで過ごします。後にバブーやロメオにも紹介し、つるむようになります。
K君、今どうしてるかなあ?
帰国後、しばらくは手紙のやりとりをしたんですが、私が引越しを繰り返している内、いつの間にか途絶えてしまいました。
※引用元を示し載せている画像は、撮影された方の了承を頂いた上で掲載しております。それ以外の「イメージ」としている画像はフリー画像で、あくまでも自分の記憶に近いイメージであり、場所も撮影時期も無関係です。
コメントありがとうございます!
相変わらず多忙を極めておりますが、気持ちの方はだいぶ落ち着いてきたのでこれからまた更新して参ります
遊びに来てくださいね!
ありがとうございました
物怖じしない性格なんでしょうね。
なんか 大物になっていそうなwwww
久々 待ってました 面白かったです。